ガソリン・原油価格が高騰 生活への影響は?今後の見通しは?

今週のレギュラーガソリンの小売価格は、全国平均で1リットルあたり164.6円となり、およそ7年ぶりの高値水準が続いています。背景には原油の先物価格の高騰があります。
ガソリンと原油の値上がりは私たちの生活にじわじわと影響を及ぼしています。

ガソリン価格が7週連続値上がり 約7年ぶりの高値水準

国の委託を受けてガソリン価格を調査している石油情報センターによりますと、18日時点のレギュラーガソリンの小売価格は全国平均で1リットルあたり164.6円となりました。

先週より2.5円値上がりして2014年10月中旬以来、およそ7年ぶりの高値水準となっています。値上がりは7週連続で、この間に7円近く上昇した形です。

ガソリンスタンドでは

ガソリン価格の高騰で、車の利用者などからは驚きや諦めの声があがっています。

このうち青森市青葉にあるガソリンスタンドでは、原油価格の高騰を受けて今月は2回値上げをしていて、直近では18日、レギュラーガソリンを1リットルあたり5円値上げして160円で販売を始めました。

20日、給油に訪れた50代の女性は「久しぶりに給油に来たらこんなに値段が上がっていてびっくりしました。満タンまでは入れずに2000円分だけ入れました。これからも値段の動きを見ながらこまめに給油していきます」と話していました。

背景に原油の高騰

ガソリン価格の値上がりは、世界的な経済活動の再開に伴う需要の高まりなどを背景に、原油の先物価格の高騰が続いているためです。
ニューヨーク原油市場では国際的な原油の先物価格の上昇が続き、17日、一時、1バレル=83ドルを超えておよそ7年ぶりの高値をつけました。

専門家「生産の伸びと需要の増え方にギャップ」

原油市場に詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センターの日根大輔研究主幹は「新型コロナウイルスワクチンの接種などが進み、経済活動が回復していることから世界的に需要が増えている。サウジアラビアなどの産油国は少しずつ生産を増やしているが、経済回復のスピードの方が早く、原油生産の伸びと需要の増え方にギャップが生じていることが大きな原因だ」としています。

さらに「ヨーロッパや中国で発電などに使われる天然ガスの需要が大きくなっていて、一部の燃料を石油に切り替えざるを得なくなっている。また、産油国の中には、これまでの価格低迷の影響で設備を整備できず十分に生産を拡大できていない国もある。エネルギーが全体的にひっ迫しているという印象があり、これが原油市場にも影響を及ぼしている」と話しました。

生活にじわじわ影響 クリーニング会社では

歯止めがかからない原油価格の高騰。私たちの生活にもじわじわと影響が出ています。

このうちクリーニング会社では、燃料代などがかさみ経営に影響が出ています。

仙台市太白区に本社と工場があるクリーニング会社では、重油を使ってボイラーを動かし、アイロンがけの蒸気や衣料品の乾燥に使用しています。しかし、原油価格の高騰を受けて、ボイラーを動かす重油の価格が去年の同じ時期に比べて42%上昇したということです。

またドライクリーニングでは、石油から作られた溶剤を使っていますが、この溶剤の価格もことし7月から7.5%上昇したということです。

さらに配達などに使用する車両の燃料代も上昇していて、こうしたコストが会社の経営を圧迫しているということでした。

タクシー会社は

原油価格の高騰は、新型コロナによる打撃から持ち直そうとする事業者にとっても足かせになっています。

東京・荒川区のタクシー会社では、9月の売り上げは感染拡大前のおととしより、およそ4000万円少ない状況です。

緊急事態宣言が解除されたあとは回復傾向でしたが、タクシーの燃料となるLPガスの価格が原油価格の高騰で値上がりしていて、経営はさらに苦しくなっています。

取り引きをしている会社との間でのLPガスの価格は、去年5月は1リットルあたり49円でしたが10月は76.5円となっていて、およそ1.5倍に値上がりしました。

9月の燃料代は、会社全体でおよそ600万円と、去年の同じ月と比べておよそ100万円増えたということです。

影響は最盛期のマグロ漁にも

最盛期を迎えている青森県大間町のマグロ漁にも大きな影響が出ています。

マグロ漁で知られる大間町の漁協によりますと、この地域での1リットルあたりの漁船の燃料価格は、20日の時点で重油が91.5円、軽油が107円で、1か月前と比べてそれぞれ6.5円上昇しています。

一方で、マグロの卸売価格は、新型コロナウイルスの影響で外食需要が落ち込んでいることなどから、例年の3分の1程度にまで値下がりしているということで、燃料価格の上昇は地元の漁業者たちに大きな負担となっています。

大間町ではいまがマグロ漁の最盛期ですが、漁師の1人は、燃料の消費を抑えるため、この1か月は漁の回数をふだんの半分に減らしたり、船のスピードを遅くしたりしていて、水揚げ量は例年の同じ時期と比べるとおよそ3割落ち込んでいると話していました。

今後も影響が広がる見通し

影響は今後も続きそうです。

原油価格の上昇を受けて大手化学メーカーの間では、プラスチック素材などを値上げする動きが相次いでいます。

このうち、三菱ケミカルは、食品の包装などに使われるフィルムについて、11月1日の出荷分から10%の値上げを行うと、取引先に要請しています。

また、住友化学もプラスチック素材の値上げを取引先に要請しました。

専門家「消費の下押し圧力に」

原油価格の高騰が日本経済に及ぼす影響について、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「感染状況が落ち着いていることを前提にこれから個人消費が回復していくと見られていたタイミングなので、ガソリンなどが値上がりしたのは非常に痛い」と話しています。

そのうえで「冬を迎えて灯油の価格が上がると暖房にかけるお金も増え、その分、高齢者を中心に財布のひもが固くなることが予想され、個人消費全体への下押し圧力になることが警戒される。企業にとっても石油製品を使う産業は利幅が小さくなり、値上がり分を転嫁しにくい中小企業を中心に苦しむことになる」と分析しています。

また今後の対応としては「原油価格のリスクを考えると、エネルギーに占める化石燃料を減らすことが求められている。中長期の政策として政府が再生エネルギーの普及をさらに後押しすることも必要だ」と話しています。