中国軍 台湾念頭の軍事活動を活発化 米中のせめぎ合い激化

中国軍は今月に入り、台湾が設定する防空識別圏に多数の戦闘機を進入させるなど、台湾を念頭に置いた軍事活動を活発化させています。これに対しアメリカは、台湾の防衛力の強化に向けて支援していく姿勢を強調し、安全保障分野での米中のせめぎ合いが激しさを増しています。

台湾が南西沖に設定している防空識別圏には今月4日、1日としては最も多い、のべ56機の中国軍機が進入しました。

その後は減っていますが、今月進入した中国軍機はのべ157機に上ります。

また、中国の国営メディアが先週、台湾への上陸作戦を想定したと見られる訓練の映像を公開するなど、中国軍は軍事活動を活発化させています。

これに対し、アメリカ国防総省のカービー報道官は12日「われわれは台湾海峡の平和と安定に永続的な関心を持っている。台湾が自衛のための十分な能力を持てるよう、支援を継続する」と述べ、けん制しました。

アメリカ海軍は今月2日と3日、沖縄南西の海域で、日本、イギリス、オランダなど5か国と共同で、空母3隻を含む艦艇が参加した訓練を行ったほか、インド近海でも今月14日まで、日本、インド、オーストラリアの艦艇とともに共同訓練を実施しました。

いずれも中国を念頭に置いた、同盟国などとの連携強化が狙いと見られ、安全保障面での米中のせめぎ合いが激しさを増しています。

台湾の専門家「不測の事態起きる可能性も高く」

今月に入って相次いだ中国軍機の進入について、台湾の軍事専門家の掲仲氏は、「通常は年間の訓練計画があり、これほど大規模なものを臨時に行うことは考えにくい。国慶節の連休にあわせて訓練を行った可能性は排除できない」として、国威発揚を狙った中国国内向けのアピールだった可能性を指摘しています。

また、アメリカのバイデン政権が台湾問題を国際化していると不満を抱いた中国が政治的なサインを出した可能性はあるものの、政治的な目的よりも軍事的な目的に主眼が置かれているとしたうえで「長時間にわたり連続で出撃する訓練ではないか」との見方を示しています。

そして、従来にない規模の進入については「この1年間で中国軍の主力戦闘機である殲16の配備数が増え、複数の部隊が合同で作戦を行う能力やパイロットの夜間飛行の技量が上がっていることがうかがえる」と分析しています。

そのうえで「多数の戦闘機の飛行が常態化すれば、警戒にあたる台湾空軍の負担が増し、不測の事態が起きる可能性も高くなる」と懸念を示しています。

米識者「台湾侵攻の可能性 時間とともに高まっている」

アメリカのシンクタンクの研究員で、中国軍の動向に詳しいイアン・イーストン氏はNHKのインタビューに対し、今月相次いだ台湾の防空識別圏への中国軍機の進入について、台湾への軍事作戦を想定したものだったとし、中国軍による台湾侵攻の可能性は将来的に高まるという見方を示しました。

この中でイーストン氏は、中国軍の戦闘機や爆撃機などが日中だけでなく深夜にも進入したと指摘し「今回の進入は前例のないもので、台湾に対する将来の軍事作戦を念頭に置いたシミュレーションだった」と述べました。

また「中国軍の過去の訓練に照らせば今回の進入が何か月も前から計画されていたことは明らかだ」と指摘し、同じころ、沖縄南西の海域で行われた、アメリカやイギリスの空母を含む6か国の艦艇による共同訓練は直接的には関係ないという見方を示しました。

そして「台湾の南西部は、台湾の軍用機がふだん訓練で使っている空域で、中国軍がここで活動することにより台湾の監視や活動の能力をそぐ効果もある」とその狙いを分析しました。

その上でイーストン氏は、中国が原子力潜水艦やミサイル駆逐艦を次々と配備しているとする分析などを念頭に、台湾に侵攻する可能性について「侵攻の可能性は現実に存在し、時間とともに高まっている。軍事的なバランスは急速に崩れて中国が優勢となりつつあり、アメリカや日本、それに台湾自身による抑止力は十分なものではなくなっている」と述べ、アメリカや日本などが連携をさらに強化して対応する必要があると指摘しました。