10代と20代男性 ファイザーのワクチン接種も選択可能に 厚労省

モデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は、ごくまれに若い男性で心臓の筋肉などに炎症が起きるおそれがあるとして10代と20代の男性にはリスクを説明したうえで、ファイザーのワクチンも選択できるようにすることを決めました。

モデルナのワクチンの接種を受けたあと、心臓の筋肉や心臓を包む膜に炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」が疑われる事例が国内外でごくまれに報告され、若い男性ほど多くなる傾向があります。

厚生労働省によりますと、国内でモデルナのワクチンの接種後に心筋炎などが報告された男性は、今月3日までに10代で100万人当たり28.8件、20代で25.7件で、ファイザーより、10代で100万人当たりおよそ25件、20代でおよそ16件多くなっています。

これを受け、厚生労働省は15日、臨時で専門家部会を開き、10代と20代の男性には念のためファイザーのワクチンを推奨することを提案しました。

これに対し、委員からは「ファイザーのワクチンでも心筋炎などが報告されているのに『推奨』としていいのか」とか「まずは情報を提供して接種する人に判断してもらうことが重要だ」などと慎重な意見が相次ぎました。

その結果、厚生労働省は、10代と20代の男性に対してはファイザーのワクチンの推奨はせず、心筋炎などのリスクについて情報提供をしたうえでファイザーかモデルナかを選択してもらえるようにすることを決めました。

1回目にモデルナのワクチンを接種した人も、2回目はファイザーに切り替えることができるということです。

厚生労働省は、今後、この方針を自治体に周知したうえで、希望に応じてファイザーのワクチンを追加で配送することにしています。

モデルナのワクチン接種 海外でも対応分かれる

モデルナのワクチン接種をめぐっては海外でも対応が分かれています。

厚生労働省によりますと、
▽スウェーデンは1991年以降に生まれたすべての人への接種を一時的に停止することを決め、代わりにファイザーのワクチンを推奨するほか、
▽カナダのオンタリオ州では18歳から24歳にファイザーのワクチンを接種するよう推奨しています。

一方、
▽アメリカでは「若年層を含むすべての人で、接種による利益がリスクを上回る」としてファイザーと同様、対象年齢のすべての人への接種を推奨しています。

「ファイザー選択可能」該当する男性への対応は

ファイザーのワクチンも選択できるのは、1991年10月17日以降に生まれた男性です。

厚生労働省は、自治体に対して接種の予約をしている人にはできるだけ個別に連絡し、ファイザーのワクチンを希望する場合は接種会場や予約の方法などを案内するよう通知しました。

1回目にモデルナのワクチンを打った人がファイザーのワクチンに切り替える場合は、接種から27日以上間隔を空け、必要に応じて優先的な予約枠の設定なども検討するよう求めています。

一方、職域接種では、モデルナのワクチンが使用されているため、ファイザーのワクチンの接種を希望する人は市町村のホームページなどで接種会場を探して予約する必要があります。

それでも見つからない場合は接種を受けた企業や大学などに相談して代わりに最寄りの会場を探してもらったり、市町村に相談して接種を受けさせてもらうこともできるということです。

相談は、自治体の窓口のほか厚生労働省のコールセンターでも受け付けています。

電話番号は0120(761)770で、土日・祝日も含めて午前9時から午後9時まで受け付けています。