北朝鮮キム総書記 アメリカへの不信感あらわに 軍事力強化強調

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、ミサイルなどの兵器を集めた展示会で行った演説で、アメリカに対する不信感をあらわにするとともに、軍事力を強化していく姿勢を改めて強調しました。
専門家は、展示された兵器の中に9月に発射された極超音速ミサイルが含まれているとしたうえで、新型ミサイルのさらなる発射実験を行う可能性を指摘しています。

12日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、ピョンヤンで11日、過去5年間に開発した兵器を集めた「国防発展展覧会」が開幕し、キム・ジョンウン総書記が演説したと伝えました。

この中でキム総書記は、北朝鮮に対話を呼びかけているアメリカについて「敵対的ではないというシグナルをしきりに送っているが、信じるに足る根拠は一つもない」と述べ、不信感をあらわにするとともに、軍事力を強化していく姿勢を改めて強調しました。

写真では、屋内の会場に展示されたさまざまな兵器の中に、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルや、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルとみられる兵器などが確認できます。

韓国の通信社「『ミニSLBM』と呼べるほどの新型兵器登場」

北朝鮮メディアが掲載した写真では、これまでに公開されている2種類のSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルと並んで別のミサイルが展示されていることが確認できます。

ほかの2種類のSLBMよりも小さく、韓国の通信社、連合ニュースは「『ミニSLBM』と呼べるほどの新型兵器が登場した」と報じました。

そのうえで「建造中の3000トン級の潜水艦に数発搭載できるように考案されたのではないかという観測がでている」と伝えました。

専門家 “極超音速ミサイル展示” と分析

軍事アナリストで、東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教は、北朝鮮メディアが掲載した写真から、9月に北朝鮮が初めて発射実験を行ったとする極超音速ミサイルが展示されたと分析しています。

小泉特任助教は、ミサイルの先端部分にオレンジ色の線が入った兵器が極超音速ミサイルとみられるとし、「ブースターには2017年に発射した中距離弾道ミサイル『火星12型』が使われているとみられる。射程は5000キロ前後で、グアムなどを狙っていることが分かる」としています。

そして「かじの機能をもった翼がついており、大気圏内をある程度長い時間飛行しながらコースを変えられるようにしている」と分析しています。

またSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルと並んで展示された別のミサイルについて、小泉特任助教は「新型のSLBMとみられ、ほかと比べて小さく、韓国に届く程度の短い射程だろう。巨大な母艦を必要とせず、既存の潜水艦を改造すれば載せられる可能性もある」という見方を示しました。

そのうえで「新型のミサイルを実用化するつもりなら、必ず何らかのタイミングで撃つと思う。北朝鮮としては粛々と軍事力の近代化を進めているということだろう」と指摘しています。

磯崎官房副長官「北朝鮮の今後の動向を注視」

磯崎官房副長官は、午後の記者会見で「北朝鮮側の発表の一つ一つについて、わが国としてコメントすることは差し控えたいが、政府としては、北朝鮮の軍事動向について、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めている。引き続き、今後の動向を注視していくとともに、対北朝鮮政策を進めていくにあたり、日米、日韓、日米韓で緊密に連携していきたい」と述べました。