ワクチン接種体制 都内で縮小の動き 希望者は早めに接種を

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、東京都内では接種体制を縮小する動きが出始めています。自治体などは、希望する人は早めに接種を受けてほしいと呼びかけています。

新型コロナウイルスのワクチンについて、国は11月までの早い時期に希望する全員への接種を完了する方針で、今月11日までに全人口の64.8%が2回の接種を終えています。

一方、都内では、接種を希望する住民が減少して予約が埋まらない接種会場も見られ、自治体の中には一部の集団接種の会場を閉鎖したり、予約の受け付けを終了したりする動きが出始めています。

「接種体制」縮小で希望者に呼びかけ 小金井市

このうち小金井市は武蔵小金井駅前の集団接種会場を今月末で閉鎖する方針で、12日、希望する人は早めに接種を受けてほしいと駅前で市の職員などが呼びかけました。

11月以降は規模を縮小したうえで、駅から離れた市の保健センターに接種会場を移すということです。

小金井市の堤直規新型コロナウイルス感染症対策担当課長は「感染は収まりつつあるが、まだ接種されていない方もいて、リバウンドが起きるおそれがある。今後、接種を受けられる曜日や会場が限られてくる前にぜひ接種を検討していただきたい」と話していました。

東京23区 ほとんどの区で縮小(NHK調べ)

新型コロナウイルスのワクチン接種について、NHKが東京23区に今後の対応方針を取材したところ、ほとんどの区ですでに接種体制の縮小が進められていて、このうち7つの区では10月末までに集団接種か個別接種のいずれかを終了することがわかりました。

NHKが東京23区に取材したところ、江戸川区を除く22の自治体で、すでに集団接種の会場を減らしたり、個別接種を行う医療機関の数を減らしたりするなど、接種体制の縮小が進められています。

さらに中央区や江東区など5つの区では、医療機関で行う個別接種をすでに終了したか、10月末までに終了することを決めていることがわかりました。

このうち中央区は今月16日で、江東区は今月17日でそれぞれ個別接種を終了することを決めています。

また墨田区と台東区の2つの区では、公共施設などで行う集団接種を今月上旬までに終了しています。

ただ、いずれの区でも、来月以降も接種を希望する人には、医療機関や公共施設などいずれかの場所で接種ができる体制は維持しているとしています。

世田谷区では…

世田谷区は今月末で医療機関での個別接種を子どもの接種を行う小児科などを除いて、原則、終了することを決めました。

また、集団接種も段階的に縮小することにしていて、今月17日からは現在の9会場から6会場に減らし、11月からは場所を変えながら1日1会場で接種を続ける方針です。

世田谷区は、2回目のワクチンの接種を終えた人の割合が70%を超え、予約枠に空きが出る日も多くなっていることから、縮小を決めたとしています。
世田谷保健所の久末佳枝住民接種担当部長は「個別接種に加えて職域接種の協力もあり接種が進んだ。いろいろな形で接種を希望する人が打てる環境をつくる努力をするので、希望する人には区のホームページを通じて予約してもらいたい」と話しています。

墨田区では…

墨田区は区民の8割が2回目のワクチン接種を終える見通しがたったとして、先月末までに、5月から行ってきた集団接種の会場を閉鎖しました。

先月28日には区役所に開設されていた会場の後片づけが行われ、いすや机などが運び出されていました。

区ではSNSを使って予約の空き状況を周知しながら、今月以降は病院や診療所での個別接種を基本に接種を進めています。

杉並区では…

杉並区では、新型コロナウイルスのワクチン接種は個別接種と9か所の集団接種会場とで行っていますが、このうち集団接種については今月下旬以降、順次、会場を減らすことにしています。

このため区では、ワクチンの接種記録をもとに接種や予約を一度もしていなかったり、1回目の接種は終えたものの、2回目を受けていなかったりする区民に文書を郵送し、接種を希望する人は早めに予約するよう呼びかけています。
区によりますと、対象となるのはおよそ14万人で、65歳以上の区民から郵送しているということです。

杉並区では「接種を希望しているが、予約が取りにくいと思ってまだ接種を受けていない人もいるかもしれない。比較的予約が取りやすいいまのうちに希望する人にはワクチンを受けてもらいたい」と話しています。

政府の大規模接種センターは11月末まで

政府が設置している大規模接種センターは東京、大阪の両会場ともに11月末まで運営されることになっていて、1回目の接種は今月23日で終了します。

今月4日から16歳と17歳も対象に加えて接種が行われていますが、このところ予約枠が大幅に余る状態が続いています。

今月4日から10日までの1週間に接種を受けた人は、
▽東京の会場では7万人分の予約枠に対し、1万2000人余り、
▽大阪の会場では3万5000人分の予約枠に対し、
 およそ4000人だったということです。

防衛省は接種を希望する人に対し「是非予約してほしい」と呼びかけています。

なぜ縮小するの?

自治体が新型コロナウイルスのワクチンの接種体制を縮小する背景には、国からのワクチンの供給がほぼ完了した一方で、接種を希望する住民が減少していることがあります。

国は、今月10日までに1億7300万回分を超えるファイザーのワクチンを全国に配送し、モデルナのワクチンも含めれば、12歳以上のおよそ9割が2回の接種を受けられる量を都道府県に送ったとしています。

こうした中、厚生労働省によりますと、全国の自治体の中には、接種の予約をする住民が減少して予約枠が埋まらなくなるところも出始めています。
特に集団接種では、医師や看護師などの医療スタッフを確保するための人件費もかさむことから、すでに一部の会場を閉鎖したり、個別接種に切り替えたりする動きも出ているということです。

厚生労働省「希望する人は早めに接種受けて」

厚生労働省は「自治体によって接種の進み具合は異なるが、今後、全国的に接種体制が縮小されていくことが予想されるため、希望する人は早めに接種を受けることが望ましい。ただ、新たに12歳になる人は接種の対象になるため、自治体は希望者が接種を受けられる体制は維持してほしい」としています。