新型コロナ退散を願い 伝統の“わら人形”作り 千葉 君津

千葉県君津市で、江戸時代から伝わる疫病の退散を願うわらの人形を作る催しが行われました。参加者は新型コロナウイルスの第6波が起こらないよう願いを込めていました。

君津市に江戸時代から伝わる「鹿島人形」と呼ばれるわらの人形は、手を横に広げて槍や刀を持つ姿をしていて、地域から疫病や災いを退散させる神様とされています。

この日、君津市の山合いにある11世帯35人が暮らす稲鹿地区で、新型コロナの第6波が起こらないよう願いを込めて人形作りが行われました。

住民たちは公民館に材料のわらを持って集まり、人形の胴体を作る人たちと飾り物を作る人たちの2つに分かれて、わらを編んだり、束ねたりしていました。

そして、男と女の人形の2体が作られ、隣接する神社の鳥居に立てられました。
いずれも高さ180センチほどの大きさで、男の人形はちょんまげ姿で槍を持ち、女の人形は長髪でなぎなたを持っていて、疫病や災いを退散させるよう力強い外見をしています。

一方、人形のふところには、袋詰めのお菓子が入っていて、住民がお参りしたときに、このお菓子をもらって食べると病気にならないと伝えられています。

地元の稲鹿地区は少子高齢化が進み、現在、子どもの数は3人だけですが、人形が完成すると早速、2歳の男の子と中学生の女の子、その家族がお参りにきていました。

参拝した中学2年の都筑愛莉さんは「人形によって、新型コロナの感染が広がらないでほしい」と話していました。

鹿島人形作りを伝えている石井米夫さんは「人形作りは、江戸時代からずっと続いていますが、ことしは新型コロナの感染が広がらないように願いを込めました。農家が減って材料のわらが少なくなり、高齢化も進んでいますが、地域の伝統行事をできるだけ守っていきたいです」と話していました。