“コロナ後遺症” 感染の半年後にも4人に1人で… どんな症状?

東京都内の新型コロナウイルスへの感染確認は49人で感染者の減少傾向が続いています。その一方で、後遺症に関する新たな調査結果が示されました。感染の半年後でも4人に1人で後遺症とみられる症状が出ていたことがわかったというのです。どのような症状が、どれくらい続くのでしょうか…。

東京都 感染確認50人下回る 約1年4か月ぶり

東京都内では11日、新たに49人の新型コロナウイルスへの感染確認が発表されました。9日が82人、10日は60人、そして11日は49人で、3日連続でことしに入って最も少なくなりました。50人を下回るのは去年6月25日以来、およそ1年4か月ぶりです。

ワクチン 2回接種は全人口の64.3%

ワクチンの接種状況です。政府が11日に公表した最新の状況によりますと、国内で少なくとも1回、新型コロナウイルスのワクチンを接種した人は合わせて9316万9823人で、全人口の73.6%となっています。2回目の接種を終えた人は8146万2027人で全人口の64.3%です。1回目の接種と2回目の接種を合わせた総接種回数は1億7463万1850回となっています。

感染から半年後も4人に1人で“コロナ後遺症”

その一方で、新型コロナの後遺症に関する新たな調査結果が示されました。国立国際医療研究センターなどは去年2月以降、新型コロナから回復した人のうち20代から70代の457人について、その後の症状を聞き取って分析しました。
その結果、半年後でも26.3%の人に何らかの症状があり、さらに発症から1年がたっても8.8%の人に症状があったことがわかりました。

後遺症の症状 どれくらい続くのか?

後遺症とみられる症状は一体どれくらい続くのか、症状別の調査結果です。

1. 嗅覚の異常 半年後7.7%・1年後1.1%

嗅覚の異常があった人は
▽発症から100日ほどたった時点で10%余り
▽半年たった時点で7.7%
▽およそ200日たっても5%余りで
▽1年後では1.1%でした。

2. 味覚の異常 半年後3.5%・1年後0.4%

味覚の異常があった人は
▽発症から100日ほどたった時点でおよそ5%
▽半年たった時点で3.5%
▽1年後では0.4%でした。

3. けん怠感 半年後6.6%・1年後3.1%

けん怠感は
▽発症直後は半数ほどの人でみられましたが
その後、減っていき
▽100日ほどたった時点ではおよそ10%
▽半年たった時点で6.6%
▽1年後でも3.1%でみられました。

4. 息切れ 半年後3.9%・1年後1.5%

息切れは
▽発症から1か月以内は20%ほどの人でみられ
▽100日ほどたった時点では5%程度
▽半年たった時点では3.9%
▽1年後では1.5%の人でみられました。

5. 脱毛 半年後3.1%・1年後0.4%

脱毛は発症の直後はあまり見られず遅れて起きる傾向があり
▽発症から数か月の段階で10%ほどの人に起きていて
▽100日たった時点では8%前後
▽半年たった時点で3.1%
▽1年後には0.4%でした。

6. 記憶力・集中力の低下 うつの症状も

物忘れなど記憶力の低下があったという人は
▽半年後で11.4%
▽1年後に5.5%
集中力の低下がみられたという人は
▽半年後では9.8%
▽1年後で4.8%
うつの症状がみられたという人は
▽半年後では8.1%
▽1年後で3.3%となっていました。
このほか研究グループは、新型コロナウイルスに感染し症状が出た時に抗ウイルス薬やステロイド剤などの治療を受けたことと症状が続くことに関連があるか調べましたが、明らかな関連は見られなかったということです。

研究グループは後遺症とみられる症状が出るのを防ぐためにも、感染しないようにする対策やワクチンの接種が重要だとしています。

男女別では… 女性の方が嗅覚異常などの症状出やすい

男女別の調査結果です。女性は
▽嗅覚の異常が男性のおよそ1.9倍
▽味覚の異常がおよそ1.6倍
▽けん怠感がおよそ2倍
▽脱毛がおよそ3倍
出やすかったということです。

さらに、若く、やせている人の方が味覚や嗅覚の異常が出やすく、新型コロナの症状が軽症でも後遺症とみられる症状が長引くケースがあるとしています。

医師「ワクチンで後遺症予防できる可能性 若い人の接種は重要」

調査を行った国立国際医療研究センターの森岡慎一郎 医師は「これまでも女性は男性と比較して後遺症が出やすいと言われてきたが、今回は症状別に脱毛や味覚・嗅覚障害、けん怠感に関しても女性の方が出やすいとわかってきた。急性期にコロナの重症化リスクが高いのは男性で肥満傾向がある高齢者だが、味覚・嗅覚障害のリスクなど後遺症に関してなぜ逆になっているかは明確にはなっていない」と話しています。

そのうえで「若い、痩せ型の女性であっても後遺症を侮ってはいけない。むしろ味覚・嗅覚障害が出やすいという事実を受け止めることはすごく大事だと思う。また、味覚や嗅覚の障害は若い人の方が出やすく、コロナの症状が軽症であっても若い人であっても後遺症は大きな問題になる。最近ではワクチンをしっかり2回接種している人は接種していない人と比べて28日間以上、症状が続きにくいという報告も出てきている。ワクチンで後遺症も予防できる可能性があることがわかってきているので、若い人でも万が一に備えてワクチンを2回接種するのは非常に重要だ。さらにワクチンを接種してもコロナに感染すると後遺症が出るリスクはあるので基本的な感染対策は続けることが大事だ」と話しています。