カーン博士死去 “核の闇市場”北朝鮮やイランなどに拡散

パキスタンの核開発で中心的な役割を果たし、核の技術を北朝鮮やイランなどに拡散させた、科学者のアブドゥル・カディール・カーン博士が、10日、死去しました。85歳でした。

カーン博士は1936年に当時イギリスの植民地だったインドのイスラム教徒の家庭に生まれ、その後、独立後のパキスタンに移住して大学を卒業したあと、ヨーロッパで学びました。

1970年代にオランダのウラン濃縮工場に勤務していたときに、ウラン濃縮に必要な資材や購入先のリストなどの機密情報を入手したとされます。

その後、パキスタンの核兵器の開発計画に加わって1998年に核実験を成功させ「原爆の父」と呼ばれて国民的英雄となりました。

一方、2004年、北朝鮮やイランなどに核技術を提供した、いわゆる「核の闇市場」に中心的に関わっていたことが発覚し、国際社会から厳しい批判を受けました。

国営テレビなど複数の地元メディアは、カーン博士が現地時間の10日7時すぎに首都イスラマバードの病院で死去したと伝えました。

死因は明らかにされていませんが、新型コロナウイルスに感染して入院し、その後、自宅で療養していたということです。85歳でした。

磯崎官房副長官「過去に核関連技術の流出 極めて遺憾」

磯崎官房副長官は11日午後の記者会見で「わが国としては、いかなる形であれ、過去に核関連技術の流出があったことは、国際社会の平和と安定や核不拡散体制を損なうものであり、極めて遺憾で、今後とも、このようなことがあってはならないと考えている。岸田内閣としては『核兵器のない世界』の実現に向け、しっかりと取り組んでいきたい」と述べました。