衆議院選挙に向けて 与野党の動き

岸田総理大臣は、新型コロナウイルスの患者を受け入れている東京都内の病院を視察したあと記者団に対し、公的病院の専用病床化や医師や看護師らの処遇改善に取り組む考えを強調したうえで、今後も、さまざまな分野で現場の声を聴き、施策に反映させる考えを示しました。

岸田総理大臣は9日午前、就任後初めての現場視察として、新型コロナウイルスの患者を受け入れている東京 墨田区の都立墨東病院を訪れました。

そして、人工心肺装置=ECMOを使った治療について説明を受けたほか、医師や看護師らと車座で意見を交わし、苦労している点や要望などを聴き取りました。
このあと岸田総理大臣は記者団に対し「みずからのリスクも顧みず、大変なストレスの中で頑張っておられる皆さんの切実な声を聞かせていただき、感銘を受けた」と述べました。

そのうえで、内閣の最重要課題として新型コロナウイルス対策に取り組むとして、公的病院の専用病床化や医師や看護師らの処遇改善に取り組む考えを強調しました。

そして、岸田総理大臣は「できるだけ多く、さまざまな分野の現場に足を運んで話を聴かせていただき、それを政治に形として反映する努力を続けていきたい」と述べ、今後もさまざまな分野で現場の声を聴き、施策に反映させる考えを示しました。

立民 枝野代表 首相の所信表明批判 衆院選での政権交代訴え

立憲民主党の枝野代表は、神奈川県相模原市で街頭演説し、岸田総理大臣の所信表明演説を「ことばだけが踊り、内容が伴っていない」と批判し、衆議院選挙での政権交代を訴えました。

枝野代表は9日、衆議院選挙の立候補予定者の応援で、相模原市に入りました。

この中で枝野氏は、8日に行われた岸田総理大臣の所信表明演説について、「ことばだけは踊っているが、中身が全く伴ってない。『新しい資本主義』も、具体的なことがないし、介護士などの給料を上げたいと言うが、これから新しい会議をつくり、議論するということだ」と批判しました。

そのうえで「われわれは、4年前の衆議院選挙から、介護士や保育士の賃金を底上げをすると言ってきた。これから議論するという仮免許の岸田内閣と、準備万端の枝野内閣のどちらを選ぶのか決めてもらいたい」と衆議院選挙での政権交代を訴えました。

公明 山口代表「『声が届く政治』を目指す」

公明党の山口代表は、長引く新型コロナウイルスの影響を把握しようと、飲食店の視察などを行い、国民の声が届く政治を目指す党の姿勢や政策をアピールしました。

山口代表は、9日午前中、東京都内の飲食店を視察したあと、午後は、10代や20代の若い世代との意見交換会に出席しました。

出席者からは、新型コロナウイルスの影響が長引いていることへの懸念が示され、山口氏は、18歳までの子どもを対象に、1人当たり一律10万円相当の支援を行うなどとした、党の政策を説明していました。

このあと、山口氏は記者団に対し「いろんな不安や現実の課題を抱えていることを、生の声としてぶつけられたので、それに応じて機敏に対応し、先々の将来不安にも応える、腰を据えた取り組みも大事だと感じた」と述べました。

そのうえで「岸田総理大臣も就任早々から、国民の声を聞くことを重視している。われわれもこうした活動を行って『声が届く政治』を目指す姿勢をもっと知っていただいて、政権選択の選挙に臨みたい」と述べました。

共産 小池書記局長「岸田政権は安倍政権の三番煎じ」

共産党の小池書記局長は、大阪市で街頭演説し「岸田政権は安倍政権の三番煎じだ」と批判し、野党で連携して衆議院選挙で政権交代を目指す考えを重ねて示しました。

小池書記局長は9日、衆議院選挙の立候補予定者の応援で、大阪市に入りました。

この中で、小池氏は、8日に行われた岸田総理大臣の所信表明演説について、「『成長と分配の好循環』と言っていたが、安倍元総理大臣も使っていた言い回しで、目新しくない。菅政権が安倍政権の二番煎じだとしたら、岸田政権は三番煎じだ」と批判しました。

そのうえで「自民党と公明党の中での政権のたらい回しでは、政治は変わらない。政権交代で新しい政権ができ、野党4党などで締結した共通政策が実行されれば、全く新しい日本を作ることができる」と訴え、野党で連携して衆議院選挙で政権交代を目指す考えを重ねて示しました。

維新 吉村副代表 “行財政改革や規制緩和に取り組むべき”

日本維新の会の副代表を務める大阪府の吉村知事は、大阪市で街頭演説し、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」での分配の強化には賛成だとする一方、その実現は経済成長が前提になるとして、行財政改革や規制緩和に取り組むべきだという考えを示しました。

吉村知事は9日、衆議院選挙の立候補予定者の応援で、大阪市内で街頭演説を行いました。

この中で、吉村知事は、岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」での分配の強化をめぐり、「国民の可処分所得が少なくなっているので、分配の強化には大賛成だが、重要なのは財源をどこから持ってくるかだ。岸田総理大臣の所信表明演説から『改革』という文字が消え、残念でならない」と述べました。

そのうえで「成長しなければ分配する元手はない。まずは経済成長であり、成長のためには改革が必要だ。また、民間の活力をどんどんいかしていくために、おかしな規制をなくすことが必要だ」と訴えました。

国民 玉木代表 自民党に代わる現実的な選択肢を提示する

国民民主党の玉木代表は、香川県宇多津町で街頭演説し、衆議院選挙の争点の1つは、政治の信頼回復だとしたうえで、自民党に代わる現実的な選択肢を提示すると訴えました。

玉木代表は9日、みずからの地元に戻って、4か所で街頭演説を行いました。

この中で、玉木氏は、8日に行われた岸田総理大臣の所信表明演説について、「具体策はないし、これまで訴えていた『所得倍増』の倍増の二文字さえ消えていた。何をしたい内閣なのかが、全くわからず、非常に残念だ」と述べました。

また、衆議院選挙について「大きな争点の1つは、政治の信頼回復だ。安倍政権と菅政権のおよそ9年間続いた政治で、政治の信頼は大きく傷ついた。聞いたことには答えない国会になり、公文書の改ざんも行われた」と述べました。

そのうえで「国民民主党は小さな政党になったが、本当の意味で、自民党に代わって信頼できる、現実的な選択肢を示すことが、われわれの使命であり、政治の信頼の回復を託してもらいたい」と訴えました。