新型コロナ 抗原検査キット 薬局で販売始まる

新型コロナウイルスの抗原検査キットの販売が一般の人向けにも認められたことを受け、都内の薬局では検査キットの販売が始まっています。

抗原検査キットは15分から30分程度で結果がわかるのが特徴で、厚生労働省は国の承認を受けた製品についてこれまで医療現場などに限って使用を認めていましたが、一般の人が自宅などでみずから検査を行えるように先週、薬局での販売を認めました。

東京 西東京市の薬局には、8日朝、卸会社から検査キットが届き、検査に用いる綿棒や検体抽出液などを取りだして1人分ずつ包装したあと、販売開始を知らせる貼り紙を掲示していました。

抗原検査キットの販売にあたっては、正しい方法で鼻から検体を採取することや、ウイルスの量が少ない場合は感染していても陽性とならない可能性があることなどの注意点を薬剤師が説明する必要があり、この薬局では、販売に先立ってメーカーの担当者を招いて研修を行ったということです。

薬局を訪れた40代の男性は「抗原検査には限界もあり、マスク着用などの感染対策がまずは大切だと思いますが、地元で買える選択肢が増えたのはありがたいです」と話していました。

田無本町調剤薬局の薬剤師、磯部紀子さんは「陽性結果が出た場合は医療機関の紹介ができるよう準備もしているので、住民の皆様がスムーズに医療につながれるようになればと思います」と話していました。

抗原検査キット 特徴は

抗原検査キットは、これまでもインターネットなどで販売されていましたが、これらは「研究用」と呼ばれる製品でした。

厚生労働省が承認したものではなく、精度なども不確かだとして、一般の人が感染の有無を調べる目的で使用すべきではないとされていました。

これに対し、厚生労働省が承認した抗原検査キットは「医療用」とされ、一般の人は購入できませんでしたが、承認を受けた医療用の抗原検査キットのうち15の製品については、先週から薬局での販売が認められました。

希望する人は健康なときにあらかじめ購入しておき、具合が悪くなったときに自宅などで検査を行って、陽性の結果が出たら医療機関を受診するという使い方が想定されています。

一般的な検査の手順としては、鼻の穴から綿棒を2センチ程度入れ、鼻の内側に沿わせて5回ほど回転させた後、綿棒をチューブに浸して検体抽出液を加えることなどで結果がわかるということです。

一方、ウイルス量が少ない場合は、感染していても陽性とならない場合があるため、無症状の人が用いることは推奨されていないほか、PCR検査と比べて感度が低く、感染しているにも関わらず陰性と判定される「偽陰性」のリスクもあることから、症状がある場合は医療機関の受診が必要です。

全国の薬局や医療機関などの薬剤師でつくる日本薬剤師会は「日本薬剤師会として、各地の薬剤師会に適切な内容が伝えられるよう、研修の準備などを進めている。抗原検査の特徴をよく理解したうえで購入を希望する人に説明を行い、適正に使用されるよう貢献することが重要だと考えている」と話しています。