東京・埼玉で10年ぶりの“震度5強” 首都直下地震との違いは

7日遅く、千葉県北西部を震源とする地震があり、東京・足立区や埼玉県川口市などで震度5強の強い揺れを観測しました。
東京23区で震度5強の揺れを観測したのは10年前に発生した東日本大震災以来で、気象庁は今後1週間程度は同じような揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

この地震の特徴は、また想定される首都直下地震とはどう違うのか、詳しくお伝えします。

想定される首都直下地震とは違う?

今回の地震と国が想定する「首都直下地震」との関係について気象庁は、「今回の地震は想定されている首都直下地震より深い地震で規模も小さかった」と説明しています。

「首都直下地震」は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で発生すると推計しているマグニチュード7クラスの大地震です。

内閣府の想定によりますと、東京が最大震度7の激しい揺れに襲われるなど関東南部で甚大な被害が発生し、最悪の場合、死者はおよそ2万3000人にのぼると想定されています。

気象庁「首都直下地震はもう少し浅くて大きな地震」

気象庁によりますと、
▼今回の地震はマグニチュード5.9と推定され最大震度が5強だったのに対し、
▼首都直下地震はマグニチュード7クラスで最大震度が7と想定され、一回り規模が小さくなっています。

今回の地震と首都直下地震との関係について気象庁の束田進也地震津波監視課長は「想定されている首都直下地震はもう少し浅くて大きな地震で、今回はそれより深い地震で規模も少し小さかったというふうに考えている」と述べました。

プレート境界付近で起きた地震か

気象庁の地震津波監視課の束田進也課長は、今回の地震のメカニズムについて「岩盤が東西から圧縮されて起きた『逆断層型』と呼ばれる地震で、さらに精査する必要があるが、現時点ではフィリピン海プレートと太平洋プレートの境界付近で起きた地震ではないかと考えている」と述べました。
その上で、「今回の地震が本震なのか、より大きな地震の前震なのかなどは、全体の地震活動が終わらないとわからない。ただ、過去の地震の評価から今後1週間程度、特に2~3日の間は、今回と同じ程度の強い揺れを伴う地震に注意して欲しい」と話しています。

なぜ震源と離れた場所で震度5強

今回の地震で、最も大きい震度5強の揺れを観測したのは、震源地の千葉県北西部のある千葉県ではなく、東京・足立区や埼玉県の川口市などでした。

これについて気象庁の束田進也地震津波監視課長は、「特別な地震の仕組みで起こったというより地盤が昔の川沿いだったり、周囲に比べて地盤が軟らかい場所のため、震度が大きめに出た」と説明しています。

気象庁によりますと、今回の震源となった千葉県北西部では16年前の2005年7月にマグニチュード6.0の地震が発生していますが、この地震でも東京・足立区で最も大きい震度5強の揺れを観測していました。

地盤の“よしあし”どう知る?

「地盤緩いと言われていたけど、こんなに揺れるとは…」
「地盤しっかりしているから大したことなかった」
SNS上でこうした書き込みが相次いだ今回の地震。

揺れを左右したのは震源からの位置に加えて地盤、とくに、地表に近い「表層地盤」でした。

でも、地盤の“よしあし”は少し離れただけでも異なること、ご存じですか?最新の調査に基づく詳細なデータを確認してみてください。

「表層地盤」軟らかい粘土層など堆積 揺れ増幅されやすい

防災科学技術研究所が運用しているウェブサイト「J-SHIS」(地震ハザードステーション)はことし3月関東地方について、より現実に近いデータに更新されました。

一般に、地震は地震波が届く距離が近いほど大きく揺れます。

ただ、地盤の中でも地面に近い「表層地盤」に軟らかい粘土層などが堆積していると、揺れが増幅されやすいことがわかっています。

関東で行われた調査で「揺れやすさ」明らかに

これまでは地形に基づく分析でしたが、防災科学技術研究所はより実態に近づけるため、2014年から17年にかけて関東で調査を実施。

「微動アレイ」と呼ばれる高性能な地震計を使いました。
合計1万4000か所で行われた調査に、ボーリング調査の結果も加味して分析した結果、表層地盤の地質と、地震波の伝わり方、つまり「揺れやすさ」が明らかになりました。

詳細なデータを反映させると、これまで見えてこなかった地域の特性が浮かび上がってきました。

震度5強を観測した足立区周辺も増幅率が大きい

従来のものと比較すると、利根川や荒川といった川沿いの地域で揺れの増幅率が大きくなっているのがわかります。

今回震度5強を観測した足立区周辺も増幅率が大きいことが確認できます。

一方、川沿いであってもそこまで揺れやすくなかったり、一般的に地盤がかたいとされている台地であっても、揺れが増幅されたりすることもわかったということです。

東京の都心、文京区や台東区、荒川区の周辺では地域によって大きな違いが出ています。

防災科学技術研究所は、今後ほかの地域でも調査を進めていくことにしています。

見方と注意点

注意しなければならいのは、増幅率がそのまますべての建物の揺れにつながるわけではない、ということです。

建物には揺れやすい「周期」というものがあります。
例えば、一般に低い建物は“がたがた”とした短い周期の揺れで揺れやすく、高い建物はゆっくりとした長い周期の揺れで揺れやすくなります。

地震の揺れにはさまざまな成分が含まれていて、地盤の性質によって、増幅される揺れが異なり、軟らかい地盤が厚いと、周期の長いゆっくりとした揺れが増幅されやすくなります。

つまり、固いとされる地盤だったとしても、揺れの周期と建物が持つ周期があう=共振が起きれば、建物の揺れは大きくなってしまうのです。

建物の特性を把握しておくことも重要です。

「長周期地震動」 東京23区と千葉県北西部で階級2を観測

気象庁によりますと、今回の地震で、高層ビルなどがゆっくりと大きく揺れる「長周期地震動」が発生し、東京23区と千葉県北西部で4段階のうち下から2番目の階級「2」を観測しました。

これらの地域の高層ビルの高層階などでは、物につかまらないと歩くことが難しく、棚にある食器類や本棚の本が落ちることがあるなど大きな揺れになった可能性があるということです。

“盛り土”も被害に影響することも

また、表層地盤以外にも被害を左右するものがあります。

盛り土によって造成された宅地です。

古い年代を中心に盛り土された宅地では、10年前の巨大地震を含め、これまで大地震で相次いで被害が確認されています。

大規模なものなど、一定の条件を満たす場合は自治体が調査し、公開されています。

盛り土だからといってすべて危険だというわけではありません。

また、マップに示されていない盛り土でも被害が起きていますので、限界があることに注意が必要です。

自宅や働いている場所、通っている学校の周辺がどうなっているのか、ぜひ一度確認してみてください。

気象庁「今後1週間程度 特に2、3日 地震に注意」

今回の震源付近では、8日午前5時すぎにもマグニチュード3.6の地震が発生し、東京・練馬区で震度2の揺れを観測しています。

気象庁は、今後1週間程度、特に2、3日は、今回と同程度の強い揺れを伴う
地震に注意し、倒れやすい家具を固定するなど対策をとるよう呼びかけています。

また、揺れの強かった地域では、落石や崖崩れの危険性が高まっている可能性があるので注意してください。