8月の経常収支 黒字額は前年同月を半年ぶり下回る

日本が海外との貿易や投資などで、どれだけ稼いだかを示す、ことし8月の経常収支は1兆6656億円の黒字となりましたが、黒字額は去年の同じ月を半年ぶりに下回りました。原油価格の上昇で輸入額が伸び、輸出から輸入を差し引いた「貿易収支」が赤字に転じたことなどが要因です。

財務省が発表した国際収支統計によりますと、ことし8月の日本の経常収支は1兆6656億円の黒字となりましたが、黒字額は去年の同じ月より4196億円、率にして20.1%減り、半年ぶりに去年を下回りました。

これは、東南アジアでの感染拡大で部品の調達が難しくなり、自動車の生産が減って、欧米や中国向けの輸出が伸び悩んだことや、原油価格の上昇で輸入額が大幅に増え、輸出から輸入を差し引いた「貿易収支」が3724億円の赤字となったためです。

「貿易収支」が赤字になるのは、ことし1月以来、7か月ぶりです。

また「旅行収支」は、146億円の黒字となりましたが、外国人観光客の数が大きく落ち込んでいるため、黒字額は去年の同じ月より25.6%減少し、低迷が続いています。

一方、海外の証券投資などで得た「第一次所得収支」は、株高などを背景に黒字幅が拡大し、2兆4259億円の黒字となりました。