ノーベル文学賞にグルナ氏 「ノーマーク」「和訳がない」

ことしのノーベル文学賞に、アフリカ・タンザニア出身の作家、アブドゥルラザク・グルナ氏が選ばれました。
海外文学ファンのイベントや書店の動きなど、日本国内の反応をまとめました。

参加者から驚きの声

ノーベル文学賞の発表に合わせて海外文学ファンたちが会場とオンラインで参加するイベントが東京都で開かれました。

このイベントは、首都圏の海外文学ファンのグループがノーベル文学賞の発表に合わせて開いたもので、東京 渋谷区の会場とオンラインで合わせておよそ20人が参加しました。

グループでは、ノーベル賞を海外作品の魅力を知るきっかけにしてもらおうと、およそ1年かけて候補として名前の挙がる作家や好きな海外作家など合わせて80人分の作品を分担して読みこみ、それぞれ紹介文を書いて冊子にしてきました。

イベントでは会場に日本語や英語の書籍をおよそ60冊並べ、作品の魅力を語りあいながら発表の瞬間を待ちました。

そして午後8時、アブドゥルラザク・グルナ氏の名前が発表されると、メンバーからは驚きの声が上がりました。

会場にはグルナ氏の作品はありませんでしたが、メンバーが同じアフリカ出身の作家の魅力を紹介するなどして盛り上がっていました。

参加した男性は「ノーマークでしたが、新たな作家を発掘してくれたので日本語訳が出版されたら読むのが楽しみです。次は日本の作家などアジア圏の作家の受賞を期待しています」と話していました。

イベントを主催した浦野喬さんは「最初は『誰だ?』という感じでしたが、イベントに向けていろいろな作家の作品をみんなで読むことはとても楽しかったです。最近は新型コロナで会って話す機会が減っていたので、グルナ氏の作品の読書会も開いてみたいです」と話していました。

和訳の著書が見当たらず

東京 中央区の八重洲ブックセンター本店では、ノーベル文学賞の受賞が決まった人の著書を集めたコーナーを設けることを予定していました。

午後8時にアブドゥルラザク・グルナ氏の名前が発表されたのを受けて、書店の店員はすぐに、日本語に翻訳されたグルナ氏の著書があるか検索しました。

しかし見当らなかったため、予定していたノーベル文学賞の受賞を祝うコーナーを設けるのを取りやめました。

その後、店員は、店の公式ツイッターに受賞者を書き込もうと、名前のカタカナ表記に間違いがないか一文字一文字確認しながら、グルナ氏の名前をツイートしていました。

店員の内田俊明さんは「初めて聞いた作家で、和訳の著書が見当たらず、著書を店頭に並べられないのは残念ですが、世界にはまだまだ翻訳されていないすばらしい本があるということだと思います。読んでみたいというお客さんも多いと思うので、この受賞を機会にグルナ氏の著書が翻訳されればありがたいですね」と話していました。

村上春樹さんのファンは

受賞の期待がかかっていた村上春樹さんの小説の舞台になったとされる北海道の美深町では、集まったファンから落胆の声が聞かれました。

美深町は、村上春樹さんの長編小説「羊をめぐる冒険」の舞台になったとされ、10年前から毎年、ノーベル文学賞の発表にあわせ、ファンが集まり、発表の瞬間を待っています。

ことしも地元のレストランにおよそ20人が集まり、地元のクラフトビールを飲みながら、発表を待ちました。

そして日本時間の午後8時ごろにグルナ氏の受賞が発表されると、ファンからはため息の声が聞かれました。

地元に住む60代の女性は「ことしこそ村上さんが選ばれると思っていたので残念です。来年に期待して楽しみに待ちます」と話していました。