日銀 5つの地域で景気判断を引き下げ 支店長会議

日銀は「地域経済報告」を公表し、9つの地域のうち東北、東海、近畿、中国それに九州・沖縄の5つの地域で、景気判断を引き下げました。
夏場の感染拡大で個人消費がふるわなかったことや、自動車メーカーの減産が影響しています。

日銀は7日、3か月に1度の支店長会議をオンラインで開き、全国の景気の現状をまとめた「地域経済報告」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち、東北、東海、近畿、中国、九州・沖縄の5つの地域で、前回の報告から景気判断を引き下げました。

これは、新型コロナのため先月まで続いた緊急事態宣言などの影響で、夏場の旅行など個人消費が振るわなかったことや、自動車メーカーが東南アジアでの感染拡大が要因となり、相次いで大幅な減産に踏み切ったことなどによるものです。

そのほかの北海道、関東・甲信越、北陸、四国では、景気判断が据え置かれました。
日銀の黒田総裁は、景気の現状について、基調としては持ち直しているという見方を維持したうえで、先行きについても「感染症の影響が徐々にやわらいでいくもとで、回復していくとみられる」という見方を示しました。

日銀大阪支店長「宣言解除で景気再び持ち直し見込まれる」

今回の地域経済報告で、近畿の景気判断を引き下げたことについて、日銀大阪支店の高口博英支店長はオンラインでの記者会見で「8月から先月上旬に新型コロナの新規感染者数が急増した影響で消費への下押し圧力が強い状態が続いている」と説明しました。

そのうえで、先行きについては「緊急事態宣言が解除されたことから、外食産業などでは営業時間や酒類提供の制限緩和が下支えになっていくほか、旅行や宿泊でも一部で予約が増加する動きがみられる。このため、景気が再び持ち直していくことが見込まれる」と述べました。

日銀名古屋支店長「国内の生産回復までにはもうしばらく時間」

また日銀名古屋支店の林新一郎支店長は「東南アジアでの感染の拡大はピークを越え、企業からは現地の部品工場の生産を再開したなどの声も聞かれるが、部品の供給は今も滞っていて生産や輸出を下押ししている」と述べました。

そのうえで、今後の見通しについて「現地の部品工場が動き始めても、不足している半導体などをすぐに出荷できるわけではなく国内の生産の回復までにはもうしばらく時間がかかる。また、中国国内の電力不足では、現地の日本企業の工場が一部、生産できないという企業の声も出ている」と述べ、生産の動向を注視していく考えを示しました。