ノーベル文学賞にグルナ氏 タンザニア生まれ イギリスで活動

ことしのノーベル文学賞に、アフリカ・タンザニア出身の作家、アブドゥルラザク・グルナ氏が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにある選考委員会は、日本時間の午後8時すぎ、ことしのノーベル文学賞の受賞者に、アフリカ・タンザニアの出身でイギリスで活動する作家、アブドゥルラザク・グルナ氏を選んだと発表しました。

グルナ氏は1948年に当時イギリスの保護領だったタンザニアのザンジバル島で生まれ、1960年代に難民としてイギリスに渡りました。

そして21歳の時に執筆活動をはじめ、アフリカを舞台にした作品や、イギリスで人種差別などの過酷な環境に置かれる難民の姿を描いた作品を数多く発表してきました。

また、最近までイギリスのケント大学で教授を務めていました。

ノーベル賞の選考委員会は「植民地主義の影響と、難民の運命への妥協のない、思いやりを持った洞察力を評価した」としています。

「植民地の記憶を世界の読者が理解できる作品に」

アフリカ文学を研究している法政大学国際文化学部の粟飯原文子教授は「アフリカからノーベル文学賞が長い間出ていなかったので、今回の受賞はアフリカ文学を研究している立場として大変うれしい快挙だ」と述べました。

グルナ氏の作品について「アフリカやイギリスでは多くの人に読まれており、現代に誇れる作家の1人だ。タンザニアや東アフリカなどを舞台とした歴史や記憶を大切にして、そして人々の姿や自分の経験を美しい文体で長編小説として数多く手がけてきた。テーマとして植民地の記憶を描いたことが非常に重要で、その痛みや経験を通じて歴史を遡り、現代を照射したことで、アフリカだけでなく世界の読者が理解できる作品を描いたことが評価されたのではないか」と分析しました。

その上で「アフリカの文学作品は日本ではまだまだ知名度は低いのが現状で、今回の受賞をきっかけにアフリカ文学の翻訳が進み、どこか遠くて分かりづらいという先入観がなくなり、日本の読者にとって距離が縮まるきっかけになるのではないか」と期待を寄せました。