“護衛艦「いずも」で米軍F35Bの発着試験 3日に実施” 防衛省

防衛省は、事実上「空母化」する護衛艦「いずも」について、アメリカ軍の最新鋭ステルス戦闘機、F35Bを使った発着試験を3日に行ったことを明らかにしました。

海上自衛隊で最大の艦艇、護衛艦「いずも」について、防衛省は、航空自衛隊に配備される最新鋭のステルス戦闘機、F35Bが発着できるよう事実上「空母化」する予定で、甲板の改修作業などを進めてきました。

そして、「空母化」に向けた作業の一貫として、アメリカ軍岩国基地のF35B、2機を使った発着試験を3日、太平洋上で行ったことを明らかにしました。

海上自衛隊が試験の様子を撮影した映像では、F35Bがゆっくりとしたスピードで垂直に着艦したり、全長およそ250メートルの甲板を滑走して発艦したりする様子が確認できます。

海上自衛隊の護衛艦に、戦闘機が発着したのは、これが初めてです。

事実上の「空母化」について、政府は、F35Bで構成する部隊を常時搭載することはなく、憲法上保有が許されない「攻撃型空母」には当たらないとしています。

海上自衛隊トップの山村浩海上幕僚長は、5日の記者会見で「改修は戦闘機運用の柔軟性をさらに向上させるもので、あくまでも多機能な護衛艦という認識だ。日本の防衛のために運用する」と述べました。

海上自衛隊は、「いずも」に加え、同じ型の護衛艦「かが」についても事実上の「空母化」に向けた改修を行う予定で、運用に向けた検証作業も本格化させることにしています。

岸防衛相「日米同盟の抑止力 対処力の強化につながる」

岸防衛大臣は、閣議のあとの記者会見で「アメリカの支援を受けた検証作業の実施は、日米同盟の深化および日米の緊密な協力を示すものだ。アメリカ海兵隊所属のF35Bが『いずも』へ発着艦できることが確認されたことは、日米の相互運用性の向上に資するものであり、日米同盟の抑止力、対処力の強化にもつながる」と述べました。

“空母化”のねらいと課題は

護衛艦「いずも」や、同じ型の護衛艦「かが」は、いずれも全長が248メートルある海上自衛隊で最大の艦艇です。

甲板と格納庫の面積から、計算上、F35Bが10機ほど搭載できますが、防衛省は、「F35Bの部隊を常時、搭載する運用は想定していない」としています。

中国が海洋進出の動きを強める中、陸上の航空基地の少ない本州の太平洋側や南西諸島などの地域で洋上の発着拠点として運用することで、空からの攻撃に対する「防空任務」に当たることが検討されています。

一方で、潜水艦を捜し出して対処する「対潜水艦作戦」の能力がすぐれているのが特長で、防衛省関係者からは事実上の「空母化」によって、その能力が低下するのではないかという懸念の声も聞かれます。

また、政府は、憲法上、保有が許されないとされる「攻撃型空母」にはあたらないと説明していますが、その一方で防御的な装備でも攻撃用に転用できることから、どのような装備品が「攻撃的」か「防御的」かは区別が難しいとしています。

「専守防衛」のもと、改修後の護衛艦をどう運用していくのか、政府には丁寧な説明が求められます。

基地の地元 山口県岩国市の住民グループが反対の申し入れ

防衛省が事実上、空母化する護衛艦「いずも」で、アメリカ軍岩国基地に所属するステルス戦闘機F35Bを使った発着試験が行われたことについて基地の地元の山口県岩国市の住民グループが市に対し、F35Bの「いずも」への搭載などに反対するよう申し入れました。

海上自衛隊の護衛艦「いずも」について、防衛省は、最新鋭のステルス戦闘機F35Bが発着できるよう事実上、空母化する予定で、今月3日、アメリカ軍岩国基地に所属するF35B・2機を使用して、四国沖で発着試験を行ったことを明らかにしました。

これについて、岩国基地の機能強化に反対する岩国市の住民グループが5日市役所を訪れ、市の担当者に申し入れ書を手渡しました。

この中では将来、岩国基地所属のF35Bが「いずも」に搭載される可能性が高く、事故や騒音など市民生活に重大な影響を及ぼすおそれがあるとして、「いずも」への搭載や運用に反対するよう求めています。

これに対し、岩国市の山中法光基地政策担当部長は、「市民生活に重大な影響がないよう国やアメリカ軍に問い合わせるとともに、基地の機能強化につながらないよう情報収集していく」と述べました。

申し入れのあと住民グループの顧問の久米慶典さんは「市には市民の目線に立って、国やアメリカ軍にきぜんとした対応を取ってもらいたい」と話していました。