抗原検査キットを配布 小学生以下の子どもがいる家庭に 神奈川

新型コロナウイルスの再度の感染拡大を防ぐため、神奈川県は30分程度で結果が分かる抗原検査キットを、小学生以下の子どもがいる家庭に対して配布する取り組みを始めました。

この取り組みは、発熱などの症状がある人に自宅を出る前に検査してもらうことで、感染した人の外出を防ぐのがねらいです。

対象はワクチンを打つことができない小学生以下の子どもがいる家庭で、保育園や小学校を通じ、先月からおよそ77万人分の配布を始めています。

県が、ことし5月から6月にかけて県民およそ14万人を対象にアンケート調査を行ったところ、およそ30%の人が発熱やせきなどの症状があっても医療機関を受診せず、仕事や学校に行くと回答しました。

一方、7月末から8月に抗原検査キットを4万人に配布して調べたところ、陽性の反応が出た人のうち、88%が医療機関を受診し、98%は外出を控えたということで、県はキットを活用することで、第5波で相次いだ保育園や小学校でのクラスターを防ぎたいとしています。

県のコロナ対策を指揮する医師の阿南英明統括官は「症状があったら医療機関を受診すべきなのは、みんな分かっているが、現実には、なかなか休めず、医療機関に行くのは敷居が高い。抗原検査キットを使うことで、家で調べて陽性だったら学校や職場に行かないで医療機関に行くというふうに行動変容を促したい」と話していました。

検査キットで陽性の高校生 登校せず病院へ

抗原検査キットを使って自宅で感染が分かったため、外出を控えたという人もいます。

神奈川県内の高校2年の女子生徒はことし7月、発熱や関節の痛みを感じたため、県が試験的に配っていた抗原検査キットで調べたところ陽性の反応が出ました。

このため登校を取りやめ、医療機関を受診して陽性の診断を受けたということです。

女子生徒は「病院で感染するリスクもあると思うので、病院に行くのは少し抵抗がありました。このときも、しばらくしたら一度、熱が少し下がったので、キットがなかったら、たぶん解熱剤を飲んで翌日は学校に行ってしまったと思います。もしかしたら感染を広げてしまったかもしれないので、検査ができてよかったです」と話していました。

母親は「娘とはLINEでやり取りをして、自分の部屋から出るときはマスクをしてアルコール消毒を徹底しました。もし検査キットがなかったら病院を受診するまですごく不安だったと思います。みんながちょっと心配なときには、キットで検査をして感染が広がらないような行動につながればいいと思います」と話していました。

保育園で検査キット配布

神奈川県平塚市の「もんもん保育園」では、先月30日に抗原検査キットを園児の保護者に配布しました。

園の保育士たちは、子どもを迎えに来た保護者にキットを手渡し「熱とか体調不良とかの症状があるときに使ってください」などと使い方を説明していました。

受け取った父親は「乳幼児はワクチンが打てないので、熱が出たときなどに家でチェックできるのはありがたいです」と話していました。

別の母親は「小さい子どもがいると病院に行くのはハードルが高いので、自宅で調べられるのは助かります」と話していました。

この保育園では、これまで園児や職員の感染は確認されていないものの、発熱などの症状が出た園児や保育士が、すぐに医療機関の予約が取れず、検査までに何日もかかることがあったといいます。

高野洋奈園長は「最終的には医療機関を受診してもらう必要がありますが、まず検査をしてもらえば安心できますし、園としても準備ができるのでありがたいです」と話していました。

偽陰性と未承認キットに注意を

抗原検査キットは先月27日から薬局での販売が特例的に認められ、一般の人も購入することができるようになりました。

鼻に綿棒を入れて検体を採取し、検査を行うと15分から30分程度で結果が分かります。

ただ、症状が出ておらず、ウイルスの量が少ない場合、感染しているにもかかわらず陰性の結果が出る「偽陰性」リスクがあるということです。

また、陽性となった場合は医療機関の受診が必要です。

県のコロナ対策を指揮する医師の阿南英明統括官は「陰性を確認するために使うのは勧めない。症状があっても陰性だった場合は、少なくとも翌日もう1回検査をしてほしいし、検査が陰性でもほかの病気の可能性もあるので、なるべく医療機関を受診してほしい」と呼びかけています。

そのうえで、通販サイトなどで国の承認を受けていない抗原検査キットが販売されているとして「国が認めたものは、薬剤師が対面で使い方を説明して販売することになっている。必ず基準をクリアしたものを使ってほしい」と呼びかけています。