国内初「核酸医薬」専門の研究拠点 東京医科歯科大が開設へ

次世代の医薬品として注目され、遺伝子の元となる「核酸」と呼ばれる物質をさまざまな病気の治療に活用する「核酸医薬」の研究、開発力を高めようと、東京医科歯科大学が来年、国内では初めて「核酸医薬」を専門とする研究センターを開設することが分かりました。

この研究センターは東京医科歯科大学が来年、学内に設置し、国内では初めての核酸医薬専門の研究拠点になるということで、研究者およそ30人が所属するということです。

「核酸」とは遺伝子の元となるDNAやRNAなどの物質で、この「核酸」を薬として使うことで、遺伝子の欠損を補ったり、異常な遺伝子を働かなくしたりすることができます。

病気の原因に直接作用するため高い効果が期待できるほか、病気に合わせて人工的に薬を合成できるため、患者数の少ない病気にも対応できるとされています。

これまでに国内外で10種類以上の薬が実用化され、世界中で激しい開発競争が繰り広げられているということで、大学では専門の研究拠点を作ることで国内での研究、開発力の強化を目指すということです。

日本核酸医薬学会の会長で、東京医科歯科大学の横田隆徳教授は「日本の優れた技術を集約すれば、核酸医薬の分野で世界をリードできるはずだ。スペシャリストが集まる拠点を作ることには大きな意義がある」と話しています。

難病に高い効果 競争激化する核酸医薬の開発

核酸医薬は、これまで治療法が無かった難病に高い効果を示す薬が実用化されたことで注目を集めています。

このうち「ヌシネルセン」と呼ばれる薬は神経の難病 脊髄性筋萎縮症の治療薬で、日本でも2017年に承認されています。

また、2019年には、アメリカのハーバード大学などのグループが、難病に苦しむ6歳の女の子にオーダーメードの薬を作って治療したと発表するなど、核酸を人工的に合成することで患者数が少ない「希少疾患」に対して薬を作ることができることも、核酸医薬の技術の特徴の一つとされています。

世界的にはこれまでに15種類の薬が実用化され、日本からも「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」という病気の薬が、開発、実用化されるなど、世界中で開発競争が激化しています。

日本核酸医薬学会の会長で、東京医科歯科大学の横田隆徳教授によりますと、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」にも核酸医薬の分野の技術が活用されているということです。

横田教授は「核酸医薬はここ3、4年で急速に進歩している。次世代の医薬品として世界中で研究が進んでいて、日本としても重点的に研究を進めることが重要だ」と話しています。