徳島特産のすだち 1日1トン余る異例の事態 コロナやサンマ影響

「全国一の生産量を誇るすだちは 絶対に残さないとだめです」。
すだちを扱う卸売会社の専務は力を込めました。
徳島特産のすだちは、露地栽培ものが旬を迎えましたが、待ち受けていたのは、市場で1日あたり1トンが余る、異例の事態でした。何が起きているのか、取材班は現場に向かいました。

市場を襲った異例の事態

徳島市中央卸売市場を訪れると、目に飛び込んできたのは、すだちの山。

例年であれば、市場に出荷されたすだちは、その日のうちにすべて販売され、売れ残ることはありません。

しかし、ことし9月は、1日平均およそ1トンのすだちに買い手がつかず、余るようになりました。
卸売会社「徳島青果」山田靖仁専務は、「非常に厳しい販売状況になっているのが現状です。通常だと、9月で500円から700円くらいの相場で取引が行われているんですけど、ことしは350円から300円と非常に安い価格で低迷しています。輸送代とか箱代とかいろんな必要経費を引くと、農家の手取りはほとんどないです」。

異例の事態、そのわけは

背景には、すだちの需要が大きく落ち込んだことがあります。
▼原因1 新型コロナ。
新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店は休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、すだちの主な買い手である飲食店やホテルなどの需要は去年から大きく減少したままです。
▼原因2 さんまの不漁。
感染拡大に加えて、ほかの食品の問題も影響しています。
さんまの水揚げの減少が続き、さんまにあわせるすだちも売れなくなったのです。
▼原因3 中国産まつたけ輸入減。
さらに、さんまと同じく、すだちの相棒である中国産まつたけの輸入も減少が続いています。

▼すだちの収穫は例年通り。
一方、すだちの収穫は順調です。
8月は雨などで収穫量が少なくなったものの、9月になると天候が回復して生育や作業が進み、平年並みの収穫量になりました。

例年なら収穫量の増加に安堵するところですが、今年は供給が需要を上回り、卸売価格の下落につながりました。

すだちの新相棒

この事態を打開しようと、家庭向けの消費拡大を目指して模索が始まっています。

地元のJAは、関東などに向けた、すだちが3つから4つ入った小袋の販売に力を入れています。

ことしは去年より出荷の開始を4か月前倒しし、関東のスーパーからは「来年も続けてほしい」という声が寄せられています。

そして、さんまやまつたけに代わる新たな相棒も見つかりました。

徳島県産の生しいたけです。

実は、徳島県では、すだちをみそ汁やお酒にも混ぜて香りを楽しみます。

新鮮なしいたけを焼いて、すだちをしぼって食べると香りも味も相性がいいと評判だったことに市場関係者が目をつけ、セットでの販売を始めました。
徳島市内のスーパー・マルナカ徳島店の桑村真人 副店長は、
「徳島といえばすだち、秋といえばしいたけ、両方とも徳島産の商品を使って、食べ方の提案をする商品となっています。われわれが一個でも多く店頭で販売することで生産者を支えることになればいいなと思って販売しています」。

地元の思い

徳島県によりますと、すだちの年間生産量は平成21年から平成30年の10年間でおよそ6000トンからおよそ4000トンまでに減少。

すだちの需要の減少に歯止めがかからなければ、生産をやめる農家が増えるおそれもあると心配されています。

なんとか、すだちを売りたい――。

全国一の生産量を誇るすだちを守りたいとの地元の思いが込められています。
卸売会社「徳島青果」山田靖仁専務は「このままでは生産者の方々もやめてしまうと思う。すだちを栽培するのをやめて、果樹園が山に戻ってしまう。それを回避しないといけないし、全国一の生産量を誇るすだちは絶対残さないとだめです。そのためにも全員が努力して頑張って売ることです。それを切に私は願います」。