緊急事態宣言解除 “再開”各地で

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置は、10月1日、すべて解除されました。学校や仕事、レジャーなど、各地でさまざまな影響がみられました。

菅首相 “国民のみなさんに心から感謝”

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置がすべて解除されたことを受けて、菅総理大臣は、1日午前、記者団に対し「これまでご協力いただいた国民のみなさんに、心から感謝申し上げるとともに医療従事者や介護などの関係の皆さんのご尽力に、感謝と敬意を表したい」と述べました。

そして「飲食店やイベントは、段階的に規制を緩和していくが話すときはマスクをして、3密を回避するなどの基本的な対策は、国民の皆さんにぜひ、ご協力いただきたい。安心できる日常を取り戻すことができるように、ご協力を改めてお願いしたい」と述べました。

“通常どおり”の授業が再開

宣言の解除を受けて、通常どおりの授業が始まったところもあります。

広島県福山市では、2学期が始まった9月1日から、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、教室で席の間隔など一定の距離が確保できない一部の市立の小中学校について、1つのクラスを2つのグループに分け、午前と午後の入れ替え制で分散登校を行っていました。

10月1日からはすべての学校で一斉登校を再開し、このうち、緑丘小学校では朝から児童たちが教室で久しぶりに会った友達と楽しそうに話していました。6年生の児童は「久しぶりに話ができた友達もいたのでよかったです。みんなそろってできることが少なかったので音楽発表会などの行事が楽しみです」と話していました。

“2年ぶりに出張します”

大阪空港では久々に出張に出かけるという人たちの姿がみられました。

秋田県に向かう50代の歯科医の男性は「2年ぶりに出張します。緊急事態宣言も解除され、ワクチンも打っているからいいかなと考えています。リモートでは本音の部分が聞けないので、直接会って会話をしたい」と話していました。

また、新潟県に向かう出版社に勤務する50代の男性は「宣言期間中は出張は控えていましたが、きょうから少しずつ増えていくと思います。テレワークなどでは難しい部分があるので出張が再開できてよかったです」と話していました。

バスツアー再開 “わくわくしています”

東京 新宿の駐車場では、再開したバスツアーに参加する旅行客の姿がみられました。

東京の旅行会社「クラブツーリズム」は、東京都に4回目緊急事態宣言が出たことし7月からツアーを中止していましたが、1日、およそ2か月半ぶりに再開。
午前7時半ごろ、旅行を心待ちにしていたツアー客が集まり、大型バスに乗って目的地に出発しました。
14人のツアー客は、日帰りで長野県小布施町をめぐり、特産のぶどうやくり、それにフレンチの料理を味わうということです。

参加した80代の女性は「緊急事態宣言中は家でじっとしていました。久しぶりの旅行でとてもわくわくしています」と話していました。

沖縄美ら海水族館 約2か月ぶり再開

沖縄県では、沖縄美ら海水族館がおよそ2か月ぶりに営業を再開しました。

午前8時半に開館すると、家族連れなどが入り口で検温や手の消毒を行ってから館内に入っていきました。体長が9メートル近くあるジンベエザメが泳ぐ大水槽の前では、訪れた人たちが互いに距離をとって、悠々とした姿に見入っていました。

水族館では、再開にあたって入館者数を制限しているほか、マスクの着用や消毒の徹底などを呼びかけています。また、一部のプログラムでは参加の条件として、ワクチンの2回接種やPCR検査で陰性だったことを証明する書類の提示を求めています。

飲食店“待ちに待った” 酒の提供再開

認証を受けた飲食店では酒の提供が再開されました。

東京 池袋のイタリアンバルでは、ビールやワインなどの提供を再開し、営業時間も午後9時までに延長しました。
消毒や検温など基本的な感染対策のほか、来店は1グループ4人までに制限し、料理も小皿にあらかじめ取り分けるなどの対策もとっています。

友人と2人で訪れた20代の大学生は、「友達と会って店でお酒を飲むのは半年以上ぶりです。お酒が再開されて感動ですね。ただ、今の感染状況だと遅い時間や大人数は避けて楽しみたいです」と話していました。

店を運営する会社の営業部長、寄木一真さんは「待ちに待ったという感じです。きょうから夕方から夜にかけての予約も入りはじめ、このまま年末のかき入れ時まで営業が続けられればいいなと思います」と話していました。

“リベンジ消費に期待” 西村経済再生相

西村経済再生担当大臣は今後の経済の見通しについて「宣言が解除され段階的に経済活動の制限も緩和される。また、ワクチンが接種済みであることや検査で陰性だったことを証明する『ワクチン・検査パッケージ』も進めていくためリベンジ消費も期待される。引き続き、厳しい状況におかれている飲食店や世帯などへの支援には目配りしながら経済を回復軌道にのせることに全力をあげたい」と述べました。

専門家“新しいスタートだと思い対策継続を”

新規感染者数を1週間平均で比較すると全国的に減少傾向が続いていて、宣言が解除された19の都道府県はいずれも減少傾向となっています。

政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、「これから秋冬の感染の再拡大を考えると今の感染者数が少ない状態をいかに長く維持するか、あるいはここからさらに下げられるかが大事になる」と指摘しています。
そのうえで、「今は医療体制を立て直す時間として、一刻もむだにすることなく準備を進めなくてはいけない。ここからもう一回新しいスタートだと思って、感染対策を続けていくという意識が重要になる」と話しています。