都内の感染警戒レベル 約10か月ぶり 上から2番目に引き下げ

新型コロナウイルスの新規陽性者数の減少が続いている東京都内の感染状況について、専門家は、最も高い警戒レベルから一段引き下げ、2番目のレベルにしました。

2番目になるのは去年11月以来、およそ10か月ぶりです。

都内の感染状況と医療提供体制を分析・評価する都のモニタリング会議が30日に都庁で開かれ、専門家は感染状況について、最も高い警戒レベルから一段引き下げ、2番目のレベルにしました。

警戒レベルは4段階あり、第3波の前だった去年11月19日に最も高いレベルに引き上げられ、先週まで維持されていました。

2番目になるのは、およそ10か月ぶりです。

総括のコメントは「再拡大の危険性が高いと思われる」から「再拡大に警戒が必要であると思われる」になりました。

レベルを引き下げた理由について、専門家は「新規陽性者数の増加比は6週間連続して低下を続けている」などと説明しています。

また、新規陽性者数の7日間平均は、29日時点で296人となり、第4波と5波の間の最小値だった、ことし6月15日の367人を下回る水準まで減少したと指摘しました。

ただ専門家は「感染拡大のリスクが高くなる冬に備え、新規陽性者数を徹底的に減らしておく必要がある」などとして、緊急事態宣言が解除されても、感染防止対策を徹底し、ワクチン接種を進めるよう呼びかけました。

一方、医療提供体制については「重症患者数は高い水準で推移しており、体制への負担が大きい状況にある」などとして、最も高い警戒レベルを維持しました。

小池都知事「何としてもリバウンドを防ぐ」

緊急事態宣言が解除されることについて、東京都の小池知事は「あすからいよいよ新たなステージに入る。言うまでもなく、コロナとのたたかいが終わったわけではない。リバウンド防止措置期間での取り組みによって、コロナをさらに抑え込む。日常生活、経済活動を再生、回復させる土台を作り上げていく。強い決意を持って何としてもリバウンドを防がなければならない。引き続きのご協力をよろしくお願い申し上げたい」と述べました。

モニタリング会議 分析結果

30日のモニタリング会議で示された、都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況 6週連続で減少

新たな感染の確認は、29日時点で7日間平均が296人となりました。

前回の9月22日時点より、およそ276人減り、6週連続で減少しました。

都内のワクチンの接種状況は、28日時点で、全人口のうち、
▽1回目を終えた人は66.1%
▽2回目を終えた人は56.7%でした。

12歳以上でみると、
▽2回目を終えた人は6割を超えて62.5%になりました。

ただ、専門家は、接種したあとも感染する人が確認されているとして「本人は軽症や無症状でも、周囲の人に感染させるリスクがあることを啓発する必要がある」と指摘し、ふだん会っていない人との飲食や旅行など、感染リスクの高い行動は引き続き避けるよう呼びかけました。

9月27日までの1週間に感染が確認された人の年代別の割合は、
▽20代が25.8%と最も多く、
次いで、
▽30代が18.8%
▽40代が15.5%
などとなっています。

感染経路がわかっている人では、
▽同居する人からの感染が70.0%と最も多く、
次いで、
▽職場が12.0%
▽保育園や学校、それに高齢者施設や病院といった施設での感染が6.7%
▽会食は2.1%でした。

医療提供体制 重症患者「いまだ高い水準」

入院患者は、29日時点で1181人で前の週より865人減りました。

年代別では、
▽50代が最も多く、全体のおよそ22%
次いで、
▽40代がおよそ18%でした。

▽30代以下は、およそ26%です。

都の基準で集計した29日時点の重症患者は107人で、前の週から39人減りましたが、専門家は「いまだ高い水準だ」と指摘しました。

年代別では、
▽50代が最も多く45人
次いで、
▽60代が29人
▽40代が13人でした。

▽10歳未満も1人います。

29日時点で、
▽自宅で療養している人は、前の週より1711人減って1374人
▽医療機関に入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は415人減って、491人となりました。

9月27日までの1週間で亡くなったことが報告された人は82人で、このうち、自宅療養中に亡くなった人は3人でした。

専門家「警戒体制 解くわけにはいかない」

医療提供体制の警戒レベルを最も高いレベルで維持したことについて、東京都医師会の猪口正孝副会長は「重症患者数がまだ107人と高い水準だ。ここに、また新規陽性者がどんどん増えていくと、今の患者をベースに増えていく形になる。やはりこの状況だとまだ、最も高い警戒レベルであろうと判断した」と述べました。

そのうえで「このあとの感染状況がどうなるかということがはっきり読めない状況のなかでは、この警戒体制を解くわけにはいかない」と述べました。

一方で「医療提供体制がかなり改善してきていることは確かなので、もう少しの辛抱だと思っている」と述べました。