北朝鮮キム総書記 韓国との連絡ルート復旧させる考え 党機関紙

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、最高人民会議で演説し、8月から途絶えている北朝鮮と韓国をつなぐ連絡ルートを10月はじめから復旧させる考えを明らかにしました。

30日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、キム・ジョンウン総書記が29日、各地の代表からなる最高人民会議で演説したと伝えました。

この中で、キム総書記は韓国との関係について「朝鮮半島に揺るぎない平和が訪れることを願うすべての民族の期待と念願を実現するための、努力の一環だ」として、10月はじめから韓国との連絡ルートを復旧させる考えを明らかにしました。

北朝鮮と韓国の連絡ルートは8月から途絶えていて、アメリカ軍と韓国軍が合同軍事演習を行ったことに北朝鮮側が不満をあらわしたものだとみられていました。

一方、キム総書記はアメリカとの関係について「われわれに対する軍事的脅威と敵視政策は少しも変わっていない。前提条件のない対話を主張しているが、国際社会をだまし、敵対行為を隠すためのうわべだけのものにすぎない」と述べ、不信感をあらわにしました。

また、キム総書記は「国防力の強化は主権国家としての最優先の権利だ」と述べ、ことし1月の党大会で決定した核・ミサイル開発を強化するという目標を推し進めていく姿勢を強調しました。

さらに最高人民会議では、キム総書記の妹のキム・ヨジョン(金与正)氏が国家機関を率いる国務委員会の委員に選ばれ、存在感を高めています。

キム総書記「終戦宣言より敵視政策撤回を」

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領が国連総会で朝鮮戦争の終戦宣言を改めて提案したことについて、北朝鮮のキム総書記は、29日の演説の中で「終戦宣言に先立って、まず敵視政策が撤回されなければならない」と述べ、現状では応じられないとする立場を明らかにしました。

そのうえで、韓国に対して「アメリカに追従し、外部からの支持を求めることだけにあくせくしている。不信と対決の火種となっている要因をそのままにして終戦宣言をしても、敵対的な行為は続くだろう」と述べ、北朝鮮に対する姿勢を改めるよう求めました。

加藤官房長官「今後の動向を注視」

加藤官房長官は午前の記者会見で「ひとつひとつ、北朝鮮側の意図などについてコメントは差し控えるが、わが国としては、北朝鮮の動向について、重大な関心を持って、平素から情報収集と分析を行っていくとともに、今後の動向を注視し、対北朝鮮政策にあたっては、日米や日米韓、日韓などで緊密に連携をとりながら進めていく考えだ」と述べました。

韓国統一省「安定的な運用を期待」

北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が、韓国との連絡ルートを来月はじめから復旧させる考えを明らかにしたことについて、韓国統一省は「当局間の対話が早期に再開され安定した朝鮮半島情勢の中でさまざまな懸案を協議し解決していくためには、連絡ルートを早く復旧しなければならないという立場を堅持してきた」としたうえで「連絡ルートの安定的な運用が期待される」と歓迎しました。

「連絡ルート」とは

韓国と北朝鮮は、双方の政府当局者が連絡ルートを通じてやり取りをしてきました。

通常、午前と午後に少なくとも1回ずつ連絡を取り合っていて、関係改善に向けた提案や協議の打診などを行ってきたということです。

また、軍当局の間でも連絡ルートがあり、定期的なやり取りが行われていましたが、南北間の連絡ルートは、関係が悪化したり改善したりする中で遮断と再開が繰り返されてきました。

去年には、韓国の脱北者団体がキム・ジョンウン総書記を批判するビラを飛ばしたことに強く反発した北朝鮮が、南北融和の象徴とされた共同連絡事務所を爆破するのに先立って、連絡ルートを遮断しました。

ことしに入って、ムン・ジェイン大統領とキム総書記が4月から複数回にわたって親書を交わした末に、7月、1年1か月ぶりに連絡ルートの再開にこぎ着けます。

しかし、わずか2週間後、韓国とアメリカによる合同軍事演習を前に、北朝鮮によって連絡ルートは再び遮断されました。

これに対し、韓国は、南北関係の改善につなげるためには円滑な意思の疎通が必要だとして、連絡ルートを再開するよう北朝鮮側に繰り返し求めていました。