新型コロナ 抗原検査キット 薬局で販売へ みずから検査可能に

30分程度で結果が分かる新型コロナウイルスの抗原検査キットについて、厚生労働省は体調が気になる場合に自宅などでみずから検査を行えるようにするため、薬局での販売を特例的に認めることになりました。

抗原検査キットについて、厚生労働省はこれまで医療現場などでの使用を認めていましたが、27日以降、一般の人を対象に薬局での販売を特例的に認めることになりました。

体調が気になる場合に自宅などでみずから検査を行えるようにするためだとしています。

鼻に綿棒を入れて検体を採取し、検査を行うと、15分から30分程度で結果が分かります。

ただ、ウイルスの量が少ない場合、感染しているにもかかわらず陰性の結果が出る「偽陰性」のリスクがあるため、結果が陰性だった場合でもマスクの着用といった感染対策を続ける必要があります。

また、陽性となった場合は、医療機関を受診する必要があります。

自宅などで使用するため国の承認を受けた抗原検査キットを購入できるようになるのは初めてで、厚生労働省は「早期に陽性者を発見し確実な医療機関の受診につなげたい」としています。

抗原検査キット 薬局販売の経緯

抗原検査キットは、これまでもインターネットなどで販売されていましたが、これらは「研究用」と呼ばれる製品でした。

厚生労働省が承認したものではなく、精度なども不確かだとして一般の人が感染の有無を調べる目的で使用すべきではないとされていました。

これに対し、厚生労働省が承認した抗原検査キットは「医療用」とされ、医療機関などでの使用が進められてきましたが、一般の人が購入することはできませんでした。

こうした中、今回、感染者を早期に発見し、確実に医療機関への受診につなげるためとして、承認を受けた医療用の抗原検査キットのうち15のキットについて、薬局での販売が認められました。

これらは医薬品医療機器法の「薬局医薬品」に該当し、適正な使用を確保する必要があるため薬局は、販売した数量や日時などの記録を2年間保存することが求められます。

検査の結果、陽性であった場合は医療機関を受診することや陰性であっても偽陰性の可能性があるため、マスクの着用といった感染対策を続けることなどを説明する必要があります。

ウイルス量が少ない場合は感染していても陽性とならないため、無症状の人が検査することは推奨されていません。

また、症状が出てから薬局に訪れることは感染対策上、避ける必要があるため、希望する人は健康なときにあらかじめ購入しておくことが想定されているということです。

専門家「検査の特徴を理解し 正しく使うことが重要」

感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「必要な人が早めに検査できることはよいことだが、抗原検査では感染していてもウイルス量が少ないと陰性となることがあり、結果を100%信じ込んでしまうと誤った判断につながるおそれもある。本当は感染しているのに検査で陰性となった場合、数日たつとウイルス量が増加していて人に感染させる可能性もあり、数日前に行った検査の結果を提出するといった使い方は有効とは言い難い。検査の特徴を理解して、正しく使うことが重要だ」と指摘しています。