菅首相 国連総会でビデオ演説 ワクチン追加供給改めて表明

菅総理大臣は、国連総会でのビデオ演説で、新型コロナウイルス対策をめぐり「ワクチンへの公平なアクセスの確保が極めて重要だ」と指摘し、各国や地域に供給してきたワクチンを追加し、合わせて6000万回分をメドに供給すると改めて表明しました。

各国の首脳などによる、ことしの国連総会の一般討論演説は、新型コロナウイルスの影響で、国連本部の議場での演説か、事前に収録したビデオを流す形式のいずれかで行われています。

菅総理大臣は、日本時間の午前4時ごろからビデオ演説で、東京オリンピック・パラリンピックについて「さまざまな意見もあったが、招致した開催国として、責任を果たしやり遂げることができた。人類が大きな困難に立ち向かう中、世界の人々の団結を象徴する大会となった」と述べました。

そして、新型コロナウイルス対策をめぐり「切り札となるワクチンへの公平なアクセスが世界中で確保されることは極めて重要だ」と指摘しました。

そのうえでこれまでに各国や地域に供給してきたワクチンを追加し、合わせて6000万回分をメドに供給すると改めて表明しました。

また、地域と世界の平和と繁栄に向けて「力ではなく、自由で開かれた国際秩序こそが、その根底にあるべきだと確信している」と述べ「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて戦略的に取り組む考えを強調しました。

一方、アフガニスタン情勢をめぐり、菅総理大臣は、再びテロの温床になることを食い止めなければならないとして、人道支援機関の安全な活動を確保し、女性などの権利を守ることが重要だと訴えました。

そして、イスラム主義勢力タリバンについて「公言した約束を守るか否か、ことばではなく行動を見ていく」と述べました。

先の北朝鮮による弾道ミサイル発射については「安保理決議の明白な違反だ」と非難した上で「北朝鮮が外交的取り組みに関与し、非核化についてのアメリカと北朝鮮との対話が進展することを強く期待する」と述べました。

演説の最後に菅総理大臣は「10年前、東日本大震災によって未曽有の被害を受けたわが国に対し、国際社会から多くの温かい支援の手を差し伸べてもらい、復興の歩みを進めることができた。こうした経験は国際協調の重要性を再認識させてくれた」と述べ、世界が直面する課題の解決に向け、多国間主義をいっそう推進していくと結びました。