“入院と重症 第5波ピークの半分 高水準”都モニタリング会議

東京都のモニタリング会議で、専門家は、新規陽性者は減少を続けているものの、入院患者と重症の患者は第5波のピークのまだ半分程度で高い水準だなどとして「再拡大が懸念される冬に備えて感染防止対策とワクチン接種を推進し、新規陽性者をさらに減少させる必要がある」と指摘しました。

会議の中で、専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

分析を踏まえて、より実態に即した表現にしている「総括コメント」のうち、感染状況は「拡大している」から「再拡大の危険性が高いと思われる」に変わりました。

専門家は、新規陽性者の7日間平均が22日時点でおよそ572人となり、5週連続で減少していると説明し「ワクチン接種が進んだことや多くの都民と事業者が感染防止対策に取り組んだことなどによるものと考えられる」と述べました。

ただ、依然として高い水準で、職場、施設、家庭内など、多岐にわたる場面で感染例が発生しているとして「再拡大が懸念される冬に備えて感染防止対策とワクチン接種を推進し、新規陽性者をさらに減少させる必要がある」と指摘しました。

一方、医療提供体制は「総括コメント」が「体制がひっ迫している」から「通常の医療が大きく制限されていると思われる」に変わりました。

専門家は、22日時点で、入院患者は2046人、重症の患者は146人まで減少しているものの、第5波のピークのまだ半分程度で高い水準だと指摘しました。

自宅療養中に亡くなる人も相次いでいるとして「冬に備えて入院、宿泊および自宅療養の体制を総合的に検討する必要がある」としています。

さらに「この状況下で新規陽性者が増加に転じれば、医療提供体制は再び危機的状況となる」と指摘しました。

都内の感染状況と医療提供体制 分析結果

24日のモニタリング会議で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況

新たな感染の確認は、22日時点で7日間平均が572.4人となりました。

前回、今月15日時点の1095.1人よりおよそ522.7人少なくなり、5週連続で減少しました。

一方、ワクチン接種は、今月21日の時点で都内の全人口のうち、
▽1回目を終えた人は61.9%
▽2回目を終えた人は51.5%でした。

12歳以上でみると、
▽2回目を終えた人は59.2%になりました。

ただ、専門家は、ワクチンを接種したあとも感染する人が確認されているとして「ふだん会っていない人との飲食や旅行など、感染リスクの高い行動は引き続き避けるなど、感染防止対策を接種前と同様に徹底する必要がある」と指摘しました。

また「本人は軽症や無症状でも周囲の人に感染させるリスクがあることを啓発する必要がある」と注意を呼びかけました。

今月20日までの1週間に感染が確認された人の年代別の割合は、
▽20代が25.6%と最も多く、
次いで、
▽30代が18.8%、
▽40代が16.3%などとなっています。

感染経路がわかっている人では、
▽同居する人からの感染が66.6%と最も多く、
次いで、
▽職場が12.3%、
▽保育園や学校、それに高齢者施設や病院といった施設での感染が10.8%、
▽会食は1.7%でした。

医療提供体制

入院患者は、22日時点で2046人で前の週より1051人減りました。

このうち、60代以下はおよそ79%と高い水準が続いています。

年代別では、
▽50代が最も多く全体のおよそ22%、
次いで、
▽40代がおよそ19%、
▽30代以下でもおよそ26%でした。

都の基準で集計した22日時点の重症患者は146人で、前の週から52人減りました。

男女別では、
▽男性108人、
▽女性38人です。

年代別では、
▽50代が最も多く62人、
次いで、
▽60代が34人、
▽40代が17人などとなったほか、
▽10歳未満も1人います。

22日時点で陽性となった人の療養状況を前の週と比べると、
▽自宅で療養している人は2886人減って3085人、
▽都が確保したホテルなどで療養している人は546人減って835人でした。
また、
▽医療機関に入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は849人減って906人となりました。

今月20日までの1週間で亡くなったことが報告された人は123人で、このうち自宅療養中に亡くなった人は9人でした。

亡くなった人のうち ワクチン未接種は約8割

東京都内で新型コロナウイルスに感染して亡くなった人のうち、ワクチンを接種していなかった人は、接種歴がわかっている人のおよそ8割に上ることが、都の分析でわかりました。

これは24日開かれた都のモニタリング会議で明らかにされました。

それによりますと、8月1日から9月20日までに感染して亡くなった人で、ワクチンの接種歴が分かっている412人のうち、1回も接種をしていなかった人は325人でした。割合は78.9%と、およそ8割に上っています。

会議に出席した、都の「専門家ボード」の座長で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「ワクチン接種は死亡の発生を抑える効果があると考えられる」と述べました。

一方、2回接種して亡くなった人は412人のうち49人、率にして11.9%でした。
49人のうち45人は基礎疾患がある人でした。