“村上春樹ライブラリー” 来月1日に早稲田大学に開館

世界的な人気作家、村上春樹さんが寄贈した資料などが公開される施設が、早稲田大学に来月開館するのを前に22日、村上さんが出席して記者会見が開かれました。村上さんは「学生が自由にアイデアを立ち上げられる、新しい文化の発信基地になってほしい」と思いを語りました。

施設のコンセプト「物語を拓こう、心を語ろう」

「早稲田大学国際文学館」、通称「村上春樹ライブラリー」は、村上春樹さんが大学に寄贈・寄託した作品の生原稿や創作に関係する資料などを研究し、資料を公開することで、交流拠点の役割も担う施設として設立されました。

10月1日の開館を前に、村上さんは22日、早稲田大学の田中愛治総長らとともに記者会見を行いました。

この中で村上さんは、自身の名前を冠した施設が開館することについて「本当は僕が死んでから、こういう施設を作ってもらいたかったけれど、生きている間にできてしまって緊張しています。できるだけ協力して僕のイメージする環境を作っていきたいと思うし、いろんな人の本や資料を加えて、幅広い流動的な研究施設になってほしい」と思いを述べました。

さらに、施設の役割について「学生が自分のアイデアを自由に立ち上げていける、自由で独特なフレッシュなスポットになってほしいし、大学の新しい文化の発信基地になってほしい」と期待を寄せました。

また、施設のコンセプトを「物語を拓こう、心を語ろう」という、ことばにしたことについて「小説家だけではなく、人というのは日々自分の物語を作り続けるもので、意識的にせよ無意識的にせよ、自分の過去現在未来を物語化しないことには、うまく生きていけない。でも、今の若い人は自分の未来についてポジティブな物語をうまく作れているだろうかと、最近よく考えます。いつの世の中でも、理想みたいなものはあるべきだと思っていて、良質な物語のサンプルのようなものを示していくことが、小説家の役目だと思っています」と話しました。

約3000冊展示

通称「村上春樹ライブラリー」は、地上5階、地下1階建ての建物の設計は、世界的な建築家の隈研吾さんが手がけ、およそ12億円にのぼる費用はファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が全額寄付しました。

村上さんの作品から連想される、現実世界から別世界への「トンネル」をコンセプトに、建物の周囲は流線形の木のトンネルで覆われ、入り口を入って、1階から地下1階へと続く階段も、両側に本棚を設置したトンネル状に作られています。

1階と2階、地下1階には、村上さんがこれまで発表した、すべての作品と関連書籍など、およそ3000冊が展示され、自由に閲覧できるようになっているほか、村上さんの書斎を再現したスペースや、かつて村上さんが経営していたジャズ喫茶で使用されていたレコードなどを聞くことができるオーディオルームなど、村上さんの文学を楽しめる空間が作り出されています。

研究エリアがある3階と4階は一般向けには公開されておらず、村上さんの生原稿を含む資料の整理が進められていて、こうした資料については今後、一般向けに展示する機会を検討しているということです。

「村上春樹ライブラリー」は、10月1日から事前に予約すれば、誰でも無料で利用することができます。