カップめん発売から50年 時代のニーズに合わせ市場を拡大

大手食品メーカーの「日清食品」が「カップヌードル」を発売してから今月で50年となりました。各メーカーも相次いで参入し、時代のニーズに合わせて味も大きく変化してきました。

「日清食品」がカップめんを世界で初めて発売したのが1971年9月18日、今月18日で発売から50年を迎えました。

カップめんはお湯を入れるだけで3分程度で手軽に食べられるとあって人気となり、多くの食品メーカーが参入しました。市場は拡大を続け、この50年で国内の生産量はおよそ1000倍に増加しました。

また、日本企業の海外進出や経済のグローバル化に合わせて海外での販売にも各社力を入れています。

最近は健康志向の高まりを受けて、
▽たんぱく質が多く、糖質が少ない商品や、
▽塩分を抑えた商品が投入されたり、
▽レタス1個分の食物繊維を加えたものなどが
相次いで発売されました。

これに加えて、環境への意識も高まっていることから、メーカーの間では容器をプラスチック製のものから紙製に切り替える動きも広がっています。

日清食品の白澤勉ブランドマネージャーは「生活スタイルが大きく変わり新たな需要が生まれる中で、新しい商品を提案していきたい」と話していました。

カップめんの歴史

「カップヌードル」は、50年前の1971年9月18日に東京 新宿のデパートで発売されました。

創業者の安藤百福氏が開発したしょうゆ味に加えて、シーフード味やカレー味といった定番の味を軸に長年、展開してきましたが、その後、「トムヤムクン」や「ペペロンチーノ」といった味も発売。これまでに販売した味はおよそ200種類にのぼります。

さらに、会社では海外にも販路を広げ、今では北米やアジア、ヨーロッパなど100か国余りで販売されています。シリーズの世界での累計の販売数は、ことし5月には500億食に達しました。

2005年に即席めんの宇宙食も開発され、国際宇宙ステーションに滞在した野口聡一宇宙飛行士も味わったといいます。

会社では、消費者の健康志向の高まりを踏まえて、通常の商品よりたんぱく質が多く糖質が少ない商品や塩分を抑えた商品を投入。

また、環境問題への対応も進め、2008年には容器をプラスチック製から紙製に切り替えました。そして、ことし6月には、容器にふたをするためのプラスチック製のシールを取りやめたことで、年間33トンのプラスチック原料を削減できるとしています。

健康面に配慮した商品開発も

健康志向への高まりを受けて他社でもこれらを意識した商品づくりを進めています。

このうち、大阪 吹田市に本社がある「エースコック」は、ボリューム感のある商品を売りにしてきました。

ただ、最近は定番の「わかめラーメン」に、レタス1個分の食物繊維を加えたものや低糖質の麺を売りにしたものなど、健康面に配慮した商品開発も進めてきました。

エースコックの森本潤一さんは「新しい技術や素材を活用して新しい価値のある商品を追求していて、その1つとして健康意識の高まりがある。ただ、おなかを満たすというだけではなく、楽しく食事をしたいというニーズはこれからも増えていく」と話しています。

消費者のニーズの変化に合わせ個性的な商品も

インスタントラーメン研究家の大和一朗さんは、時代とともに、消費者のニーズの変化がカップめんにも反映されてきたと指摘しています。

カップヌードルが発売された直後の1970年代は欧米から入ってきた食べ歩きや外食のスタイルが若者の間に浸透し、食べる場所や時間を問わないカップめんが受け入れられたとしています。

1980年代後半からコンビニの急拡大に伴い、深夜でも買い物ができるようになったことや、カップめんを開発する技術も高まったことで市場が拡大。バブル崩壊直後の1992年には、生めんのような食感を売りにした「ラ王」が発売されるなど、価格が高くても実際のラーメンに近い「本物志向」が強まったといいます。

その後、人気店のラーメンを再現できるまでに技術が高まっていき、個性的な商品が並ぶようになったといいます。

今後について、大和さんは、「コロナ禍でお店になかなか行けないので家でよりおいしいものが食べたいという需要が高まっている。日常的に食べる手に取りやすい価格のものと、SNSを含めてにぎやかになる、ちょっと値段が高いものという、二極化の流れが続きそうだ」と話しています。

市場はさらに拡大の予測 激しい販売競争続くか

日清食品がカップ型のインスタントラーメンを開発したことを受けて、ほかの食品メーカーも次々と追随する形で、日本のカップめんの市場は拡大してきました。

昭和50年(1975年)サンヨー食品は、自社で初めてとなる即席カップめん、「カップスター」を発売しました。去年(2020年)、発売開始から45年を迎え、主力の顧客である若い世代の取り込みを加速させるため、味やパッケージなどを刷新したということです。

また、東洋水産は、昭和53年(1978年)に即席カップ型の「赤いきつねうどん」を投入。その後、販売を始めた緑色のラベルのそばと合わせて会社を代表するブランドに成長しました。

これらの動きをきっかけにカップめんの種類は、ラーメン以外にも急速に広がり、生産量の増加に拍車をかけました。

食品メーカーでつくる「日本即席食品工業協会」によりますと、日清食品がカップめんを発売した昭和46年度(1971年度)は、400万食しかなかった生産量が5年後の昭和51年度(1976年度)には12億食までに増加。そして、平成元年度(1989年度)には初めて袋めんの生産量を追い抜きました。その後も市場は成長を続け、昨年度は39億食余りに上っています。

また、調査会社の富士経済によりますと、国内のカップめんの去年(2020年)の販売額は、4765億円にのぼったと推計しています。

市場が拡大してきた背景には、多様化する消費者のニーズを捉えようと、カロリーを抑えるなど健康志向の高まりに配慮したものや、人気ラーメン店の味を再現した高価格帯の商品など、メーカー各社が新商品の投入を続けていることがあるといいます。そのうえで、今後も市場はさらに拡大し、4年後、2025年の販売額は、4850億円に達すると予測しています。

調査会社では、お湯を注ぐだけで簡単に食べられるカップめんは、自宅で食べるほかアウトドアなど屋外で活動する際に購入する人も多く、災害時の備蓄用としての需要も根強いことなどから、少子高齢化が進む中でも成長する分野だとしていて、メーカー各社の激しい販売競争が今後も続くものとみられます。