WEB特集

新型コロナ 緊急アンケート 浮き彫りになる“世代間ギャップ”

去年4月に最初の緊急事態宣言が出されてから1年半近く。長引くコロナ禍を乗り切るためにはどうすればいいのか。政府の「基本的対処方針分科会」会長を務める尾身茂氏が最近、強く訴えているのが、「国民と議論を進めながら、感染対策と社会活動の両立に向けた打開策を探っていくこと」です。
そこで、私たちは尾身会長ら専門家と市民が対話し、解決への道筋を探るNHKスペシャル「新型コロナ 市民と専門家の緊急対話」(9月19日放送)を制作。
市民と専門家の対話にあたって、新型コロナウイルスに対する人々の意識や行動を探るため、全国の15歳~69歳の男女1200人に緊急アンケートを実施しました。アンケート結果を分析すると、長引く自粛生活やワクチン接種などに対する多様な考えや不安、世代間のギャップといった実態が見えてきました。
(※今回のアンケートはLINEリサーチにて2021年9月3日~9月6日に実施/性別・年代構成比を日本全体の比率に合わせて補正)

新型コロナをどれくらい怖い?

新型コロナウイルスをどれくらい怖いと感じているか聞きました。
「とても怖い」50.4%
「やや怖い」42.4%
「あまり怖くない」6.1%

「とても怖い」が半数以上と最も多く、「やや怖い」も40%を上回りました。合わせて92.8%が、新型コロナを「怖い」と感じていることが分かりました。

いま不安に思うことは?

続いて、新型コロナに関して不安に思うことを選択肢の中から選んでもらいました(複数回答)。
「医療体制」が61.4%と最も多く、
次いで「家庭内や子どもの感染」49.5%、
「政府・自治体による自粛要請の長期化(緊急事態宣言など)」が33.3%となりました。
この質問に関連した自由記述では、特に自分自身の感染を不安に感じているという声が多く寄せられました。

「医療体制が心配。もし自分がかかってしまった時に処置してもらえるのか不安(40代男性・会社員)」

「感染しても入院できず、自宅療養することが多いため、家庭内感染や症状の急変が心配(50代女性・パート/アルバイト)」

また、新型コロナの影響で「仕事量が減り、収入が激減。毎月の支払いが苦しい(40代男性・自由業)」など仕事や収入に不安を抱いている人や、長引く自粛生活で精神的なストレスを感じていることをうかがわせる声もありました。

「こんな状態が1年半も続き、早く仲のよい人たちと会いたい(20代男性・会社員)」

「緊急事態宣言やマンボウ(まん延防止等重点措置)が続きすぎて、意味がなくなっている(40代女性・パート/アルバイト)」

自粛の度合いに変化は?

長引くコロナ禍で生活に様々な不安を抱える人が多い中、自粛の度合いに変化はあるのでしょうか? 

去年4月に出された最初の緊急事態宣言時と比較して尋ねたところ…
「変わらない」が54.0%と最も多く、
「当時より自粛するようになった」26.6%
「当時ほど自粛しなくなった」19.4%という結果になりました。

全体の約8割の人が去年の緊急事態宣言時と同等あるいはそれ以上の自粛を続けているとする実態が見えてきました。

若い世代ほど「当時ほど自粛しなくなった」割合が多い!?

さらに「当時ほど自粛しなくなった」と答えた人を年代別に見ると、世代間で違いがあることが分かりました。
10代 28.9%
20代 28.5%
と他の年代に比べて、多い結果になりました。

「当時ほど自粛しなくなった」のはなぜ?

また「当時ほど自粛しなくなった」と回答した人に、その理由を複数回答で尋ねたところ…
「自粛に疲れたから」42.6%
「ワクチン接種が進んでいるから」33.6%
「感染対策をしているから」32.6%
「生活が成り立たないから」31.1%

という答えが上位に並びました。

「行動制限」の生活をいつまで続けられる?

長引く自粛生活。多くの人が今も新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、行動制限の中で頑張って生活しています。

そこで、この生活をいつまで続けられるか聞きました。
(※「行動制限」は、外出の自粛や店・施設等の休業・時短営業、イベントの開催制限などのことを指す)

「感染が収束するまで」が42.5%
「今年中」18.6%
「わからない」18.1%
「もう続けられない」10.7%
「あと半年」5.9%
「あと1年」4.3%

半数近くの人たちが「感染が収束するまで」行動制限を続けると答えましたが、一方で「もう続けられない」「今年中」と答えた人たちも4分の1以上いました。

ワクチン接種についてどう思うか?

自粛生活を打開する切り札と期待されるのが、新型コロナのワクチン接種。

皆さんは、ワクチンや行動制限などについてどんな考えを持っているのでしょうか。

まずはワクチン接種についてどう感じているか聞いたところ…
「接種したほうがよいと思う」が78.0%と最も多く、
「どちらとも言えない」19.4%
「接種しないほうがよいと思う」2.6%という結果になりました。

年齢が高くなるほど「接種したほうがよい」とする割合が多い

さらに「接種した方がよいと思う」と答えた人を年代別で見てみると…
どの年代でも70%近くの人が「接種したほうがよいと思う」と答える中、年齢が高くなるほど割合が多くなる傾向が見られました。

若い世代ほど「接種しないほうがよい」とする割合が多い

今度は逆に、「接種しないほうがよいと思う」と回答した人を年代別に見てみました。
10代が7.1%と最も多く、
20代が4.6%、
30代が4.0%と、
若い世代の方が接種を避けたい人の割合が多い傾向が見られました。

その理由として、
「ワクチン接種した数年後の安全性・影響が明確ではない(20代女性・会社員)」
「副反応、異物混入などが怖いから(10代男性・学生)」

ワクチンの安全性や副反応などに対する不安を挙げる人がいる一方、ワクチンを打つべきかどうか迷っていることをうかがわせる声も多く寄せられました。

「まだ接種が始まって間もなく、情報がないから(20代男性・会社員)」
「一概に良い悪いと判断できない(50代女性・その他)」

行動変化のために何が必要か?

新型コロナ収束に向けて、ワクチンとともに欠かせないのが、人々の行動変容です。

そのためにどんな仕組み・制度が必要か、選択肢の中から選んでもらいました(複数回答)。
「経済的な補償」が69.2%と最も多く、
「罰則を科すなど感染防止策の義務化」45.0%
「テレワークの推進」43.7%
「政府や専門家の説明・発信力」43.2%
「学校教育のオンライン化」34.9%という結果になりました。

“感染防止策の義務化”で受け入れられるものは?

続いて「“罰則を科すなど感染防止策の義務化”として受け入れられるものはどれですか?」という質問を、複数回答で聞きました。
「マスク着用の義務」が66.5%と最も多く、
「イベントやレジャーの制限」54.4%
「ワクチン接種の義務」40.3%
「飲食店の営業制限」34.8%
「外出の許可制」24.1%
「何も受け入れたくない」6.8%

新型コロナとどう向き合っていくべきか?

アンケートの最後に聞いたのは「今後新型コロナとどう向き合っていくべきだと思うか?」という質問。
「行動制限を続けて新型コロナの収束を優先すべき」が63.6%と最も多く、「行動制限を緩和して社会経済活動を優先すべき」(7.5%)と答えた人の8倍を超え、社会経済活動を犠牲にしてでも感染の収束を優先してほしいと考える人が多数を占めていることが分かりました。
今回のアンケート調査を通じて見えてきたのは、立場や年代によって新型コロナやワクチン、自粛生活などに対して多様な考えや不安を抱きながらも、平穏な暮らしを取り戻したいと願う人々の切実な声でした。

政府分科会の尾身会長も「発信してることが伝わらず、人々が両極端に分断しているような印象を受けていて、いろいろな人と率直な対話をして、少しでもお互いの考えや悩みを知りたい」と発言。

分科会の他の専門家とともにNHKのスタジオで、職業も年齢も異なる9人の市民との対話に臨みました。

互いに本音をぶつけ合い、コロナ禍を乗り切るための道筋を探るNHKスペシャル「新型コロナ 市民と専門家の緊急対話」は9月19日(日)総合テレビ、夜9時から放送します。

(NHKスペシャル「新型コロナ 市民と専門家の緊急対話」取材班)

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