中国がTPP加入を申請 実現するにはハードルが

中国政府は16日夜、日本をはじめとする11か国が参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を、正式に申請したと発表しました。
TPPは、貿易や投資のルールで高い水準の自由化を求めていて、中国の加入が実現するにはハードルがあります。

具体的には、中国政府による国有企業に対する補助金などのさまざまな優遇措置や、企業が保有するデータの国境を越えた移動を規制していることについて、是正を求められる可能性があります。

またTPPには、強制労働の撤廃など、労働者の権利を守るための規定もあり、新疆ウイグル自治区の人権問題が取り上げられた場合、交渉の難航につながります。

さらに中国は、TPPの参加国との間で貿易面の摩擦を抱えていることもあり、加入に必要な、すべての参加国の同意を得られるかは不透明です。

中国は、オーストラリアに対しては去年以降、ワインや大麦に関税を上乗せする措置を相次いでとっていて、WTO=世界貿易機関の紛争処理手続きで争っているほか、日本との間では、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあとから、日本産の一部の食品の輸入を停止しています。

こうした状況にあっても加入の申請に踏み切った背景には、アメリカがバイデン政権になってもTPPへの早期の復帰に慎重な中で、先んじて加入を目指すことで、アジア太平洋地域での影響力を強めるねらいがあるとみられます。

また、仮にアメリカが復帰すると、交渉がさらに難しくなると予想されることから、今、加入に向けて動き出すことで、TPPが中国に対するいわば包囲網になることを防ぐことにつながるとの思惑もあるとみられます。

中国 自由貿易体制尊重の姿勢を強調

中国外務省の趙立堅報道官は17日の記者会見で「中国のTPPへの加入は、アジア太平洋地域の経済統合のプロセスを進め、コロナ後の世界経済の回復や貿易の発展、投資の増加に役に立つと考えている」と述べ、加入に向けた手続きにしたがって参加国と必要な協議を進めていくとしています。

一方、中国とロシアが主導する枠組み、上海協力機構の首脳会議で、習近平国家主席は「実力のある地位から覇権やいじめを行うのではなく、真の多国間主義を実践し、貿易や投資、技術を分断させる高い障壁を取り除くべきだ」と述べ、アメリカをけん制するとともに、自由貿易体制を尊重するとした姿勢を強調しました。

ニュージーランド副首相「いかなる国も歓迎」

協定の取りまとめ役のニュージーランドのロバートソン副首相は、17日の会見で「TPPはとても強固な地域協定で、私たちは加入を希望するいかなる国も歓迎する。ルールに基づいた貿易システムを世界中に拡大させることにつながるのなら、喜んで検討したい」と述べました。

オーストラリア貿易相「すべての参加国の決定必要」

中国と貿易面での摩擦を抱えるオーストラリアのテハン貿易相は17日、声明を発表しました。

この中でテハン貿易相は、中国の加入に向けた協議を始めるかどうかについて「まずは、すべての参加国による決定が必要である」としています。

そのうえで「加入を希望する国が協定の高い水準を満たし、WTO=世界貿易機関や、その国がすでに結んでいる貿易協定の規定を順守していることを、参加国は確信したい」と述べ、オーストラリアからの輸入品に相次いで関税を上乗せするなど、貿易のルールを順守していないとして、中国への不信感を示しました。