往診で抗体カクテル療法 医師「利点欠点のバランスで判断を」

新型コロナウイルスの軽症患者などに使用できる「抗体カクテル療法」について厚生労働省は、往診での使用を認めるかの検討を始めました。

これについて、自宅療養者の往診を行っている医師は「この療法の利点と欠点をバランスにかけて正しい判断をしていくべきだ」と指摘しています。

軽症患者などに使用できる「抗体カクテル療法」について厚生労働省は、菅総理大臣の指示を受けて往診での使用を認めるかの検討を始めました。

この療法について、自宅療養者の往診を行っている医師のグループ「ファストドクター」の代表、菊池亮医師は病院や宿泊療養施設といった十分な体制があるところでの投与が前提だとしています。

そのうえで「抗体カクテル療法は重症化防止に高い効果が期待されているが、患者数が急増している時には投与を受けられる医療機関を調整している間に時期を逃してしまう可能性がある。こうした不利益が起こらないようにするために、在宅でも投与が行える体制作りを検討していただいているのを前向きにとらえている」と話しています。

一方、厚生労働省などによりますと、先月21日までに推定で5800人余りが投与を受け、0.46%に当たる27人で副作用が疑われる重篤な症状が報告されています。

これについては「在宅という医療資源が限られた環境で万が一大きな副作用が起こったときの対応は不安を感じている。患者にリスクが生じるのは重く受け止めないといけない」としたうえで「こうした薬が活用されるべきタイミングは感染が拡大している災害時のようなフェーズで、利点と欠点をバランスにかけて正しい判断をしていくべきだ」と指摘しています。

抗体カクテル療法受けた女性「3日後ぐらいに症状なくなった」

東京 墨田区の20代の女性は、ことし7月下旬に発熱があり、新型コロナウイルスへの感染が分かったということです。

女性はもともとぜんそくの基礎疾患があったため、保健所から入院を勧められ、区内の病院で「抗体カクテル療法」を受けることになりました。

入院したときには肺炎がみられる状態で、ワクチンも接種していなかったため、女性は重症化しないか不安を感じたということですが、抗体カクテル療法を受けると、目立った副作用はなく、その後、数日で退院できたということです。

女性は「新しい薬で不安はありましたが、点滴はあっという間に終わり、薬が効くことを信じて過ごしていました。3日後ぐらいには症状もほとんどなくなり、退院後もふだんどおりに過ごせてうれしいです。今後も感染しないとは限らないので、再度かからないように過ごしていきたい」と話していました。