集中治療の専門医育成など 重症者の治療体制強化 学会が提言

新型コロナウイルスの感染が拡大するたびに、重症患者を治療する体制がひっ迫したことを受けて、日本集中治療医学会は、欧米などに比べて少ない専門の医師の育成や、他の診療科の医師でも重症患者の治療ができるよう育成するシステム作りを、国に対して求める提言をまとめました。

提言は、これまでの新型コロナ対応を踏まえて日本集中治療医学会がまとめました。

提言では、人工呼吸器が必要だった重症患者で、救命率が78%などと欧米より高かった一方、ICU=集中治療室の病床や専門の医師は大幅に少なく、キャパシティを超えて重症患者が増えると、救命率が大幅に下がるおそれがあるとしています。

このため、学会では、各国並みにICUを整備すると専門の医師は全国で7200人必要となるものの、学会が認定する専門医は2100人余りしかいないとして、国に対して▽専門の医師の育成や▽他の診療科の医師でも人工呼吸器の管理など、一定レベルの治療ができるよう育成する仕組み作りを求めています。

さらに、医療がひっ迫した地域から重症患者を広域に搬送して治療する仕組みを充実させることなども求めていて、今後の有事にも迅速に対応できる体制を作る必要があるとしています。

学会の西田修 理事長は「集中治療体制の崩壊は医療全体の崩壊に直結する。いざというときに重症治療に関わる医療スタッフを増やす仕組みが必要だ」と話しています。