西日本の大地震発生確率を算出 GPSデータから地下のひずみ分析

都市の直下で起きる内陸地震のリスクを明らかにするため、地殻変動の専門家がGPSのデータから西日本を中心とする地域で地下のひずみを分析し、地震の発生確率をまとめました。

活断層が少ないと考えられている地域でも地震が起きやすいところもあり、専門家は、今後の地震対策への活用を目指したいとしています。

内陸の大地震の被害を減らすため、国は痕跡などをもとに活断層の調査を進め、社会や経済に大きな影響を及ぼすおそれがあるものを「主要活断層」とし、地震の起きる確率などを公表しています。

しかし、すべてのリスクを明らかにするのは限界があり、3年前の北海道の胆振東部地震や大阪北部の地震など、これまで知られていない断層がずれ動く地震が相次いでいます。

地殻変動が専門で京都大学防災研究所の西村卓也准教授は、GPSの観測データから、内陸地震を引き起こす「ひずみ」がどの程度蓄積しているのか分析し、西日本で大地震の発生確率を算出しました。

30年以内にマグニチュード6.8以上の大地震が起こる確率は、鹿児島県と宮崎県、それに熊本県と大分県のそれぞれ一部からなる九州南部で31%~42%となりました。

活断層の調査に基づいて同じ地域区分で算出している政府の地震調査委員会の結果は7%~18%で、今回2倍以上高くなっています。

また、四国でも20%~28%と地震調査委員会の結果の2倍近くとなるなど、多くの地域でGPSに基づく確率が高くなりました。

西村准教授によりますと、九州南部などでは活断層があまり見つかっていなくても、GPSからひずみが蓄積している地域がわかるため、比較的確率が高くなる傾向になったということです。

西村准教授は「活断層で見えなかったリスクがGPSで見えるようになってきている。活断層の調査に加えてGPSのデータも活用し、地震対策につなげることが重要だ」と話しています。

各地域の発生確率は

地域ごとに算出されたマグニチュード6.8以上の大地震が30年以内に発生する確率です。

確率は低くでも、ゼロだという訳ではなく、決して「低いから安全だ」というわけではありません。

【九州】
▽福岡県や佐賀県にかけての「九州北部」で11%~16%。
▽大分県から熊本県の北部、長崎県にかけての「九州中部」で12%~17%、
▽鹿児島県と宮崎県、それに熊本県と大分県のそれぞれ一部からなる「九州南部」で31%~42%です。

【中国地方】
▽鳥取県と島根県を中心とする「中国北部」で8%~12%。
▽広島県と岡山県を中心とする「中国東部」で6%~9%。
▽山口県と、島根県と広島県の一部にかけての「中国西部」で11%~16です。

【四国】は20%~28%となっています。

一方、国が活断層の調査に基づき出している確率は、
▽「九州北部」が7%~13%、
▽「九州中部」が18%~27%、
▽「九州南部」が7%~18%、
▽「中国北部」が3%~7%、
▽「中国東部」が2%~3%、
▽「中国西部」が14%~20%、
▽「四国」が9%~15%となっています。

GPS活用した予測とは

西村准教授が内陸地震の予測に活用しているのは全国およそ1300か所に観測点があるGPSデータです。

観測点の位置を人工衛星でとらえ一定の期間データを取ることで大地の動きがミリ単位で計測できます。

観測点ごとに動く方向や大きさの違いを一定期間分析し、地震の原因となる「ひずみ」がどこにどの程度たまっているを推定します。

今回公表したのは、これまでに分析と検証が終わった西日本を中心とする範囲で、まず、およそ20キロ四方でそれぞれの場所ごとに30年以内にマグニチュード6.8以上の大地震が起こる確率を計算しています。

そのうえで地域をまとめて確率を算出しました。

計算には活断層のデータは使われていませんが、2016年10月に鳥取県中部で起きたマグニチュード6.6の地震は、活断層は見つかっていなかったもののあらかじめ、西村准教授がGPSデータの分析からひずみがたまっていると考えていた地域でした。

アメリカ・カリフォルニア州では活断層とGPSのデータを組み合わせた地震のリスク評価が行われています。

西村准教授は今後、関東や北日本でも分析を進める方針で、日本でも活断層のデータに加え、GPSデータを活用することを働きかけたいとしています。

活断層による予測 課題は

国の地震調査研究推進本部は活断層のうち、長さがおおむね20キロ以上で地震が起きると社会的、経済的に大きな影響を与える可能性のあるものを主要活断層として認定しています。

これまでに114が認定され、将来地震が起きる確率や規模などの評価結果を公表してきました。

地震が発生する切迫度は4つのランクに分けられ、確率が3%以上の活断層を、最も高い「Sランク」としています。

長野県と山梨県にある「糸魚川ー静岡構造線断層帯」などが該当します。

次いで危険度が高いのは0.1以上3%未満の「Aランク」で、2016年に熊本地震を引き起こした「布田川断層帯」は、地震直前の評価は「Aランク」でした。

一方、2008年の岩手・宮城内陸地震や、3年前に北海道で最大震度7の揺れを観測した地震など、事前に活断層が見つかっていない場所でも大地震がたびたび起きています。

このため国は、主要活断層の個別の評価だけでなく、そのほかの活断層も含め、地域をまとめた「地域評価」にも取り組んでいてこれまでに九州、四国、中国地方、それに関東の地域評価が公表されています。