全盲女性の逸失利益 “全国平均賃金の8割が妥当” 広島高裁

交通事故に遭った山口県の全盲の女性が損害賠償額を算定する際に将来働いて見込まれる収入分の「逸失利益」を健常者と同じ水準にするよう求めた裁判で、広島高等裁判所は全国の労働者の平均賃金の8割が妥当だとする判決を言い渡しました。

子どもの頃に病気で全盲になった山口県下関市の新納茜さん(30)は、高校2年生だった平成20年、横断歩道を歩行中に乗用車にはねられ、記憶力低下などの障害や歩行が困難になり、介護が必要になりました。

新納さんと両親は、ドライバーに対して起こした裁判で、賠償額を算定する際に将来、働いて得られると見込まれていた収入分の「逸失利益」を健常者と同じ水準で計算するよう求めましたが、1審は去年9月、全国の労働者の平均賃金の7割が妥当だとする判決を言い渡しました。

10日の2審の判決で、広島高等裁判所の金子直史裁判長は「健常者と同じ賃金条件で就労することが確実とはいえない」として、8割が妥当だと判断しました。そのうえで、介護の費用や慰謝料を含めて賠償を命じました。

原告の弁護士によりますと、障害者の逸失利益をめぐる裁判では、まったく認めないケースや健常者の平均賃金から一定の割合を差し引くケースが大多数だということで、今回の2審も1審よりは増額したものの健常者と同じ水準は認めませんでした。

判決のあと、新納茜さんは記者会見し「逸失利益が労働者の8割と判断されたのは足りず、障害者と健常者の扱いを同じにしてほしい」と話していました。

また、原告の代理人で、自身も視覚障害のある大胡田誠弁護士は「障害者も同じ労働をして、同じ収入を得られるはずなのに裁判所は健常者と同じように働けないと思っている。差別を肯定している」と批判しました。