「入院待機・酸素ステーション」16都道府県42か所に (6日時点)

新型コロナウイルスに感染し入院治療が必要だと判断された患者などを一時的に受け入れる、「入院待機ステーション」や「酸素ステーション」の設置が進んでいます。厚生労働省がまとめたところ、今月6日の時点で少なくとも16の都道府県で合わせて42か所、設置されていることが分かりました。

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスに感染し自宅で療養している人は、今月1日時点で全国で13万人を超えています。

入院治療が必要だと判断されたものの、病床に空きがないことなどから受け入れ先を調整中とされたのは1700人余りに上ります。

こうした中、一時的に患者を受け入れる臨時の施設の設置が進んでいます。

「入院待機ステーション」は入院先が決まるまでの間、患者を受け入れて必要な治療などを行う施設です。

「酸素ステーション」は、自宅や宿泊施設で療養していた患者が症状の悪化で酸素の投与などが必要になった時に受け入れる施設です。

厚生労働省が今月6日時点でまとめたところ、「入院待機ステーション」や「酸素ステーション」は少なくとも16都道府県で合わせて42か所、設置されていることが分かりました。

最も多いのが東京都で、都の施設や医療機関などに21か所設置され、都によりますと合わせて300床余り確保しているということです。

また大阪府では、医療機関の敷地内に5か所設置され、現在4つの施設が稼働中でおよそ20床が運用されています。

この集計には含まれていませんが、自治体がすでに施設を設置したり今後の設置を予定していたりするケースもあり、その数はさらに増える見込みです。

厚生労働省は、都道府県などと連携し施設の整備を進める方針です。

厚生労働省 酸素ボンベの活用呼びかけ

新型コロナウイルスに感染した患者に酸素の投与を行うための「酸素濃縮装置」の不足が今後懸念されるとして、厚生労働省は酸素ボンベなどを使って投与を行う方法を検討するよう自治体に呼びかけています。

患者を一時的に受け入れる「入院待機ステーション」や「酸素ステーション」では「酸素濃縮装置」を使っての酸素の投与が多く行われてきました。

「酸素濃縮装置」は周辺の空気から酸素を濃縮できる医療機器で患者はチューブで酸素を吸入することができます。

しかし患者1人に1台が必要となります。

自宅で療養を続ける人などが「酸素濃縮装置」を使うことも多く、この装置の不足が今後懸念されるとして、厚生労働省は先月25日に全国の自治体に通知を出しました。

それによりますと、臨時の医療施設などでは酸素ボンベや液化酸素容器からホースを使った簡易的な設備で複数の患者に一度に酸素を投与することが可能だとしてこの方法を積極的に検討してほしいとしています。

厚生労働省によりますと、これは緊急的な対応だということです。

配管設備を製造する会社によりますと、「入院待機ステーション」や「酸素ステーション」では酸素ボンベからの酸素を通すホースを施設の天井などに取り付け複数の患者のベッドまでのばすことが可能で、設置の作業は短期間で行うことが可能だということです。

メーカー 配管設備を増産

酸素ボンベを使って、複数の患者に酸素投与を一度に行うための設備について、メーカーには自治体から問い合わせが相次ぎ生産量を増やすなどの対応をとっています。

大阪に本社がある医療用酸素のメーカーには、各地の自治体から「酸素濃縮装置が足りなくなるおそれもあり設備を準備したい」、「どのように設置を進めればいいのか」などという問い合わせが先月から相次ぎ、これまでにおよそ20件寄せられています。

このメーカーが製造する設備では、新型コロナウイルスに感染した複数の患者に酸素ボンベの酸素を一度に投与することができます。

「入院待機ステーション」や「酸素ステーション」では専用のゴム製のホースを施設の天井などに取り付け複数の患者のベッドまでのばして、酸素ボンベからの酸素を届けることができます。

この設備を使うと数百人の患者に一度に酸素を投与することも可能だということです。

またこのメーカーのグループ会社の神戸市の工場では、1か月ほど前から配管設備の生産量を通常より50%増やしたということです。

メーカーの小林靖司医療事業部長は「この設備を使うと臨時の医療施設でも酸素の投与を安定して行うことができます。酸素を必要としている患者に必ず酸素が届けられるよう増産などの対応をとっていきたい」と話していました。