「ワクチン・検査パッケージ」の使い方 国民的議論を 尾身会長

政府の分科会の尾身茂会長は9日夜、西村経済再生担当大臣とともに行った記者会見で、ワクチンを接種済みであることや検査で陰性だったことを証明する「ワクチン・検査パッケージ」について、「パッケージをどのような場面で使うのかについてはコンセンサスが非常に重要で私たちは国民的議論をしてほしいと強調している。例えば大学の部活動などの際にパッケージを導入することを義務とするのか学校独自のルールにするのか、もしくはより緩やかな要請にするのかなどの考え方がある。また、飲食店についても感染対策ができていることを認証する制度があれば十分なのか、それともパッケージの仕組みを導入してワクチン接種や検査が必要だとするのかなど、それぞれの場所でいろいろな選択肢がある。国や自治体が一方的にお願いしても理解と共感が得られないので、市民や事業者の意見を聞きながら、仕組みの導入にどのような難しさや条件があるのかどんなメリットがあるのか議論をしたうえでみんなに納得してもらう必要がある」と説明しました。

また、尾身会長は、政府が今後の日常生活の回復に向けた考え方を示したことについて、「今の緊急事態宣言が続いている状況で緩めるという方向では無いのではないか」としたうえで、「今回の宣言が解除されたあとでも再度、強い対策を打つ可能性はある。ただ、その際にはワクチンの接種率が上がり、新たな治療薬が出てくるなど、いままでと明らかに違う環境になっているとみられ、その中で何をするのかを考えなければならない。緊急事態宣言のような強い対策をするにしても何をすべきなのか根本的な議論が必要になると考えており、これから知恵を集めて提案していきたい」と述べました。

西村経済再生相「国民的な議論をしながら具体化を進めたい」

西村経済再生担当大臣は記者会見で、今後の日常生活の回復に向けた考え方について「今の緊急事態宣言のもとで『ワクチン・検査パッケージ』を始めるということではない。今の宣言が終わり、ワクチン接種が一定レベルになったときに導入するための議論を今から始めていくということだ」と述べました。

そのうえで「専門家から国民的な議論をするべきだと提言をいただいている。どういう場面で『ワクチン・検査パッケージ』を使うのが有用なのか、事業者にも利用する方にも理解をいただかなければならない。事業者や自治体の声を聴き、幅広く国民的な議論をしながら具体化を進めていきたい」と述べました。