中国の王毅外相 ベトナムなどアジア4か国訪問へ 米に対抗か

中国の王毅外相は10日から、ベトナム、カンボジア、シンガポール、それに韓国の4か国を訪問します。このうちベトナムとシンガポールはアメリカ政府の高官が相次いで訪れていることから、中国としては王外相を派遣することでくさびを打つねらいもあるものとみられます。

中国外務省によりますと王毅外相は10日から15日までの日程でベトナム、カンボジア、シンガポール、それに韓国の4か国を訪問します。

このうちベトナムでは副首相と外相、シンガポールでは外相などと会談するほか、韓国ではチョン・ウィヨン(鄭義溶)外相と朝鮮半島問題や国際問題などについて意見を交わすとしています。

中国外務省は今回の訪問のねらいについて「4か国とともに多国間主義と国際正義を守り、地域と世界の平和と安定に力を注ぐためだ」としています。

この4か国のうちベトナムとシンガポールはことし7月と先月、アメリカのオースティン国防長官とハリス副大統領が相次いで訪れたばかりです。

中国としてはアメリカ政府の高官が訪れた国に王外相を派遣してくさびを打ち、バイデン政権による中国包囲網とも言える動きに対抗するねらいもあるものとみられます。

ベトナムとシンガポール “バランス”を意識

ベトナムとシンガポールはアメリカと中国による綱引きとも言える状況の間に立ちバランスを意識しながら対じしていく構えです。

このうち中国と国境を接するベトナムは最大の貿易相手国でもある中国との関係を重視し、友好的な発展を目指す立場です。

その一方で、南シナ海での領有権争いを抱えているため、アメリカや日本と安全保障面での連携を強めるなどして、中国をけん制する一面も見せています。

ベトナムは自国が米中対立の中心となる事態を避けつつ、経済と安全保障の両面で国益を追求するため、一方の国に肩入れすることなく慎重なかじ取りを続けています。

一方、シンガポールはアメリカ軍に国内の基地の利用を許可する覚書を更新し2035年まで延長したほか、自国の最新鋭戦闘機の訓練をアメリカ国内で行うための合意を得るなど、伝統的にアメリカとの防衛協力を重視しています。

ただ、中国との貿易額はすでにアメリカとの額を大きく上回り、経済的な依存度は増しています。

このためバイデン政権が進める中国包囲網とも言える動きとは一定の距離を置く姿勢も示しています。

こうした事情を抱えるベトナムとシンガポールの両国は今回の王毅外相の訪問を、アメリカと中国との関係のバランスをとる機会として生かしたい考えだとみられます。