外来の自宅療養者や宿泊療養者に抗体カクテル療法を実施 大阪

新型コロナウイルスの軽症患者などに使用できる「抗体カクテル療法」について、大阪の医療機関では投与する対象を広げようと、外来診療にくる自宅療養者や宿泊療養者などにも実施する取り組みが始まっています。

抗体カクテル療法は新型コロナウイルスの軽症から中等症の患者を対象に、ことし7月に国内で承認されました。

大阪 守口市の関西医科大学総合医療センターでは承認直後から、この治療薬を使い始めています。

8月末に厚生労働省が、容体が悪化した場合に緊急で入院治療ができる医療機関などにかぎり、外来診療の投与を認めると、いち早く取り入れました。

外来診療の主な対象は自宅療養者で、保健所などが重症化のリスクがあると判断した患者が徒歩や自家用車に乗って病院を訪れます。

そして、30分ほど点滴で投与されたあと、経過観察をして体調に変化がなければ、そのまま自宅に帰ってもらいます。
病院では、8日までに外来で訪れた106人の感染者に投与を行い、多くの人が症状の悪化を防げているということです。

さらに府が、宿泊療養者に対して抗体カクテル療法の実施を決めたことを受けて、この病院は府が定めたホテルで治療を担当することになりました。

初日となる7日は、医師と看護師が薬剤などを持ってホテルに向かいました。

ホテルでは常駐する看護師などから重症化のリスクがある感染者の情報を収集し、必要性を判断して投与します。

入院患者などと同じように投与後、1時間ほどの経過観察を行い、感染者はその後、宿泊療養を続けます。

病院によりますと、8日までの2日間で14人に投与したということです。

病院は今後、週に5日、このホテルで「抗体カクテル療法」を行うことにしています。

これらの取り組みを担当する中森靖副病院長は、大阪の新型コロナの医療提供体制が破綻の危機に直面した第4波で、自宅などで長期間、療養を続けざるを得なくなり、重症化してから搬送されてくる患者を多くみてきました。

その経験から、いち早く患者を医療に結び付ける手段を少しでも増やし、患者の重症化を未然に防ぐことで、なんとか、この第5波を乗り切りたいと考えています。
中森副病院長は「できるかぎり早期介入するチャンスを増やすことが大事だ。入院患者を重症化させないのは当然だが、自宅療養やホテル療養をしている人たちに、どう関わるかが重要になってくる。われわれも、この1年半の新型コロナの治療経験で感染症と戦うノウハウが十分にあるので、こうした人たちに、どのように必要な医療を提供するかが今後の対応のカギとなってくるはずだ」と話していました。