精神科入院中 8日間身体拘束後死亡 賠償の訴え退ける 東京地裁

5年前、東京都内の病院の精神科に入院した50代の女性が、8日間にわたって体をベッドに拘束されたあと、いわゆる「エコノミークラス症候群」を発症して死亡したとして、遺族が病院側に賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は「女性の状態を考慮して拘束した医師の判断に誤りはない」として訴えを退けました。

訴えていたのは、5年前に亡くなった当時54歳の女性の遺族です。

女性は都内の病院の精神科に入院中、8日間にわたって両手や腹部をベルトで締められてベッドに拘束され、死因は、長時間同じ姿勢でいることで血の塊ができて肺の血管に詰まる、いわゆる「エコノミークラス症候群」と診断されました。

遺族は「拘束が必要な状態ではなかった」などと主張して、病院側に賠償を求めていました。

9日の判決で、東京地方裁判所の男澤聡子裁判長は「身体拘束は人権制限の度合いが高く、体に障害を起こす可能性もあり、できるかぎり控えることが望ましいが、医師は女性の病歴や状態を十分に考慮していた。拘束が必要だとした判断は合理的で誤りはなく、拘束を一時的に解除するなどエコノミークラス症候群を防ぐための対応もとっていた」として訴えを退けました。

遺族側 控訴する方向で検討

判決について、亡くなった女性の妹は「公正な裁判が行われると信じていましたが、判決では、姉の状態をめぐって、カルテに書かれていない内容が次々と認定されていて、衝撃を受けました」と話しています。

また、遺族側の木下正一郎弁護士は「多くの精神科の現場では『身体拘束をして当たり前』という感覚が見受けられ、そうした現状を司法の判断で変えたかったが、かなわなかった」と述べ、控訴する方向で検討しているということです。

精神科での身体拘束は増加傾向にあることが国の調査で明らかになっていて、学会などでつくる団体はことし2月、精神科での人手不足が背景にあるとして、改善を求める要望書を厚生労働省に提出しています。