菅首相“宣言”延長へ閣僚と対象地域や延長幅など詰めの協議か

新型コロナウイルス対策をめぐり、菅総理大臣は7日に続いて関係閣僚と会談しました。
政府は首都圏などの都市部を中心に緊急事態宣言を延長する方向で調整しており、会談では対象地域や延長幅などについて詰めの協議を行ったものとみられます。

新型コロナウイルス対策で、政府は東京や大阪など21都道府県に緊急事態宣言を出しているほか、12県にまん延防止等重点措置を適用していて、いずれも今月12日が期限となっています。

こうした中、菅総理大臣は7日に続いて午後5時半ごろから、総理大臣官邸で西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣ら関係閣僚とおよそ1時間会談しました。

政府は、新規感染者数は減少傾向となっているものの、重症者の数は依然として高い水準で医療提供体制も厳しい状況が続いていることなどから、首都圏などの都市部を中心に宣言を延長する方向で調整しており、会談では対象地域や延長幅などについて詰めの協議を行ったものとみられます。

そして、方針が固まれば9日にも感染症などの専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮ったうえで対策本部で正式に決定することにしています。

東京 小池知事「いつまでになるのか注視していきたい」

政府が首都圏などの都市部を中心に延長する方向で調整していることについて、東京都の小池知事は記者団に対し、「いつまでになるのかによって、さまざま都として準備しなければならないことも出てくる。注視していきたい」と述べました。

そのうえで「このところは毎日、4000人以上が退院など療養を終えていることを考えると、若干、落ち着いてきたかなと思う。皆さんのご協力のおかげでこうなっているので、引き続き協力いただけるような対応や対策を練っていきたい」と述べました。

大阪 吉村知事「3週間程度か9月末くらいまで延長が適切」

大阪府の吉村知事は、記者会見で、「府内の感染状況は8月の最終週をピークに減少傾向ではあるが、まだ数としては多く、病床もひっ迫している」と述べました。

そのうえで「宣言を3週間程度、あるいは9月末くらいまで延長することが適切ではないか」と述べ、大阪への宣言を3週間程度、延長することが望ましいという考えを示しました。

そして、仮に宣言が延長される場合、政府が示す「基本的対処方針」に変更がなければ、酒類を提供する飲食店などへの休業要請をはじめとした今の措置を継続する考えを示しました。

また、吉村知事は、重症病床の使用率が50%に上った場合、大規模商業施設の休業要請などに踏み切るとしている方針について、「感染者数が減少傾向にあるかぎり、仮に重症病床の使用率が50%にタッチしたとしても、その段階で都心の大きな動きを全面的に止める判断はしない」と述べ、感染者数の減少傾向が続けば、要請は行わない考えを示しました。

愛知 大村知事「今の状況で解除は難しい」

愛知県の大村知事は8日の記者会見で「きょう午後、西村経済再生担当大臣に、今の状況では解除は難しいと考えていると改めて伝えた」と述べました。

そのうえで「人口10万人当たりの感染者数が東京よりも多い状況なので、解除にはならないと思う。感染者数のピークは過ぎたとみられる一方で、入院状況が高い水準であることに間違いはないので、引き続き医療体制の整備をしっかりやっていきたい」と述べました。

埼玉 大野知事 政府に3週間程度の期間延長申し入れ

埼玉県の大野知事は、新規の陽性が減少傾向にある一方で重症者を含む病床の使用率が高止まりしていることなどから、解除は難しいとして、8日政府に対して3週間程度をめどに期間を延長するよう申し入れたことを明らかにしました。

3週間程度としたことについて、大野知事は「今月の連休の人流を抑え込むとともに、デルタ株の感染が減少するペースを一定程度判断ができる期間だ」と述べました。

また宣言延長後の措置の内容については緩める状況にはないとしたうえで、9日専門家の意見を聞いたうえで内容を決めることにしています。

群馬 山本知事「今の時点で解除できるような状況ではない」

群馬県の山本知事は8日夕方、記者団の取材に応じ、県内の新型コロナウイルスの感染状況について「ここのところ感染拡大のペースは下がっているものの、1日当たりの新規感染者は国が示すステージ4の基準を大幅に上回る100人前後で続いている」と述べ、依然として高い水準で推移しているという認識を示しました。

また、医療提供体制についても「病床の稼働率が6割を超える高いレベルで推移しているのに加え、重症者の数も減っていない」と述べ、ひっ迫が続いているという認識を示しました。

そのうえで、緊急事態宣言について「今の時点で知事としてとても解除できるような状況ではないと判断した」と述べ、延長するよう、きょう午後、電話で西村経済再生担当大臣に要請したことを明らかにしました。

山本知事は「国で議論をして方針を決定すると思うが、群馬県も緊急事態宣言の適用を延長してもらい、この間にしっかりと感染拡大を抑えていきたい」と述べました。

兵庫 斎藤知事「予断を許さない状況」宣言延長すべき

兵庫県の斎藤知事は、記者会見で「1週間前より感染者は減少しているが、重症病床の利用率は高止まりの傾向で予断を許さない状況だ」と述べ兵庫への宣言も延長すべきだという考えを示しました。

そのうえで、現在行っている酒類を提供する飲食店への休業要請などについて「今の対処方針を弱めることも、強くすることもできない。県民には、もうちょっと頑張るということでお願いしたい」と述べ、今の措置を継続する方針を示しました。

一方、斎藤知事は、今月中旬までに新たに病床を120床確保するなど、医療体制の強化を図る考えを示しました。

滋賀 三日月知事 2週間程度延長するよう要請

滋賀県の三日月知事は8日、県庁で取材に応じ、県内の新規感染者の数は減少傾向にあるものの下がりきってはおらず、医療提供体制は引き続きひっ迫しているとの認識を示しました。

そのうえで「中京圏や近畿圏の隣接する府県でも感染が収まらず、学校が再開された影響も十分に見る必要がある」と述べ政府に対し、緊急事態宣言を2週間程度延長するよう要請したことを明らかにしました。

宣言が延長された場合、滋賀県は、酒やカラオケを提供する飲食店などへの休業要請や、大型商業施設や飲食店などへの営業時間の短縮など、これまでどおりの措置を継続する方針です。

三日月知事は「延長要請は大変心苦しく申し訳ないが、大切な命を守るため感染を抑えきったうえで行動の自由が担保される状況になるよう一緒に努力していきたい」と述べ、県民や事業者に、改めて協力を呼びかけました。

静岡 川勝知事「医療提供体制ひっ迫続いている」として延長要請

静岡県の川勝知事は「県内の感染者数は依然として高い水準で、病床占有率は60%を上回るなど、これまで経験したことがないほど医療提供体制がひっ迫した状況が続いている」などとして、8日政府に対し静岡県での緊急事態宣言の延長を要請しました。

岐阜 古田知事「緩めるという判断はない」

岐阜県の古田知事は8日夕方、記者団の取材に対して「国とは絶えず情報や意見を交換し、岐阜県の状況を把握してもらっている。今の感染状況の数字を見ると『第4波』の頂点よりもはるかに厳しい状況にあり、その中で何かを緩めるという判断はないと思う」と述べ、緊急事態宣言を解除する段階ではないという考えを示しました。

北海道 鈴木知事「直ちに解除できる状況にはない」

北海道の鈴木知事は、8日開かれた道の対策本部会議で「一時期と比べて大きく新規感染者数が減少している状況だが、特に札幌市では新規感染者数、病床の使用率、療養者数が国のステージ4の目安を超え、重症者数、重症の方が増加している」と述べ、医療提供体制は依然として厳しい状況が続いていると指摘しました。

そのうえで「北海道は首都圏をはじめとする他県との往来が多く、他県の感染拡大の影響を強く受ける特性がある。最も重要なのは13日以降の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がどういう内容になるかだ。その期間について全く明らかになっていない状況のなか、私としては現在の感染状況を踏まえると今月13日以降について、直ちに緊急事態宣言を解除できる状況にはない」と述べ、北海道の緊急事態宣言を直ちに解除できる状況にはないという認識を明らかにしました。