隠すのは もうやめた “魅せる時代”に反響

「なんて美しいの」
「サイボーグみたいでカッコいい。という本音を言ってもいい時代が来ました」

これまでの既成概念を覆す、美しい義肢をつけた姿のツイートにSNS上で多くの声が上がりました。服やアクセサリーを選ぶような感覚で楽しむ。こんな選択肢が増えることを願う当事者の声が広がっています。

きっかけは…

きっかけはこんな投稿でした。
「義肢は隠す時代から魅せる時代へどんどん変わってくれと、整形外科医としていつも思っている」

東京パラリンピック開幕後の先月30日、ツイッターの投稿と写真が話題を呼びました。

これまでにリツイートは1万、「いいね」は4万を超え、多くのコメントが寄せられています。

「カッコいいんだよな…シンプルに…」

「健常者が羨むような義手・義足の開発を願います」

賛同する声が多くある一方、さまざまな反応も寄せられました。

「カッコいい。街中で見た時に『写真撮らせてください』と声をかけるのは失礼なのでしょうか?デリケートな問題な気がして…」

「魅せる義肢はいいのだけれど、明らかに着ける人間を選ぶような気がする」

「本物の足に限りなく近い義肢もほしいな。美しい義肢を見せたい人はまだ少ないだろうし」

「技術と意識の進歩で隠したい人は隠す、魅せたい人は魅せる、がしやすい世界になるといいと思います」

「個性であり、強みに」

どんな思いで投稿したのか。

連絡を取ると、次のようなメッセージが届きました。

「デザイン性の高さが、患者本人や周囲の人たちからも『義肢をつけていることが個性であり、強みにできる』という考え方の助けになればいいなと思い、ツイートをさせていただきました」

「ただ、見せることに抵抗がある方がいることも当然で、見せる自由も見せない自由もあってしかるべきだと思っています」

「魅せる時代」願う1人

半身まひなどの障害のある19歳の娘を持つ、中井美華さんもリツイートをしたうちの1人です。
「車いすユーザーにとって身体の一部とも言える車いす。『魅せる時代を願う』1人です」

障害があっても、ほかの子どもたちと同じようにおしゃれを楽しませてあげたいと、メーカーなどの協力を得ながら、車いすのデコレーションを始めました。

(中井美華さん)
「娘にはできるだけ他の子どもたちと変わらない経験をさせてあげたいと思っています。周囲から『かわいいね』と声をかけてもらって、人とのつながりも感じ、自尊心や生きる力も湧いてくると感じています。現状は障害者向けの商品は限られていて、『魅せる』動きが広がって理解が進んでくれることを願っています。見せたくないという方の思いを否定するものではありません」

見せることも隠すことも

「見せることも隠すこともいい。社会に選択肢が広がってほしい」

こう話してくれたのは、右目を失明したリブさん(27)です。
「パラリンピックで義肢・義装具の注目高まっててうれしさいっぱい。デザイン義眼も広まってくれー!」こうリツイートし、自分でデザインした義眼と、装着した姿を披露しました。

幼い頃のケガで右目を失明したリブさん。

同級生に「腐れ目」などとひどい言葉をぶつけられたり、容姿を理由にアルバイトの採用を断られたりしたこともあったといいいます。

最近まで、自分の目に似せた義眼やサングラスをつけるほか、前髪で右目を隠してきました。

こうした経験が積み重なった時、もうどうせなら自分の好きなデザインの義眼を身につけて、おしゃれをしたいと思うようになったのがきっかけでした。
リブさんが憧れているのが映画に出てくる義眼の悪役です。

シチュエーションに応じてさまざまなデザインの義眼をつけて登場し、周囲から侮辱されてもひょうひょうと生きる姿に強さを感じたといいます。
ことし1月、星空をモチーフに自分でデザイン画を描いた試作品をツイッターで投稿したところ、5万ものいいねを集め、反響を呼びました。

こうした反応が、リブさんを後押ししたといいます。
中央に星のスタッズ、周りにはラメを施しています。
この義眼には医療用の透明の合成樹脂でコーティングしているため、装着しても痛みなどはないということです。

また、「ブラックライト」をあてると「EYE」という文字が浮かび上がるものなど自分でデザインし、おしゃれを楽しんでいます。

どんな人も 生きやすい社会に

厚生労働省によりますと、義眼は容姿を整えるだけでなく結膜の保護やまぶたの変形の防止などの役割があるということですが、義眼の製作に資格や認証制度はないということです。

当初は、自分でデザインした義眼を作ってくれる所が見つからず、断念したというリブさん。

その後、知人のつてで製作に協力してくれる義眼師を探しだし、試行錯誤しながらオリジナルの作品を生み出しました。

リブさんは、多くの人に障害について理解してもらうことで、もっと生きやすい社会につながればと願っています。

「今の私は、義眼をつけて右目のおしゃれとして楽しめています。視界が開けたようにも感じています。でも、私も嫌な思いをたくさんしてきて『隠したい』という気持ちもわかります。できることなら、自然な見た目に戻りたいという気持ちもあって、隠したい気持ちと、あえて障害を自分の『個性』として自信を持って魅せていきたい両方の気持ちがあります」

「義眼が服やアクセサリーを選ぶような感覚になったらいいなと思います。社会に選択肢が増えて、どんな人でも生きやすい社会になったらと願っています」