岸防衛相 英空母「クイーン・エリザベス」視察 防衛協力深化へ

岸防衛大臣は、在日アメリカ海軍横須賀基地に寄港しているイギリスの最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」を視察し「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、両国の防衛協力を一層深化させていく考えを示しました。

イギリス海軍の最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」は、ことし5月にインド太平洋地域に向けてイギリスを出航し、先月沖縄の南の海上で自衛隊やアメリカ軍などと共同訓練を行い、4日、在日アメリカ海軍横須賀基地に寄港しました。

岸防衛大臣は6日、横須賀を訪れて空母打撃群に加わっているオランダのフリゲート艦や「クイーン・エリザベス」を視察し、艦内で司令官と意見を交わしました。

このあと岸大臣は記者団に対し「東シナ海や南シナ海で起こっている『国際法によらない海洋秩序の変更』にヨーロッパの国々が関心を持ち、プレゼンスを発揮することは、地域の平和と安定に資するものだ」と述べました。

そして「イギリスの空母打撃群が、日本に寄港する意義は大きく『自由で開かれたインド太平洋』の維持・強化のため、わが国との連携が地域の平和と安定を促進するものだと確信している」と述べ、両国の防衛協力を一層深化させていく考えを示しました。

日本のねらいは

日本とイギリスはことし2月に、外務・防衛の閣僚協議いわゆる2プラス2を、7月には防衛相会談をそれぞれ開催し、防衛協力を深化させることなどを確認してきており、今回の空母の寄港で、さらに両国の連携を強めたい考えです。

連携強化を進める背景には、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国の存在があります。

イギリスのほかにも、インド太平洋地域には、フランスやドイツなどが艦艇を派遣していて、共同で訓練を行うなどしています。

また、日本は、アメリカ、オーストラリア、インドと「クアッド」と呼ばれる4か国の枠組みでも共同訓練も実施しています。

日本としては「クアッド」に加え、ヨーロッパ各国とも防衛協力を深めることで「自由で開かれたインド太平洋」を実現し、地域の安定につなげたい考えです。

イギリスのねらいは

イギリスは、EU=ヨーロッパ連合を離脱後、ヨーロッパだけでなく、世界に広く目を向ける「グローバル・ブリテン」を掲げていて、著しい経済成長を続け、今後も発展が見込まれるインド太平洋地域への関与を強める姿勢を明確に打ち出しています。

空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群には、アメリカやオランダの艦艇も加わっていて、今回の派遣では日本やアメリカ、インドや韓国などと共同訓練を実施したほか、ことし7月には南シナ海を航行しました。

価値観を共有する国々と連携した空母の派遣は、インド太平洋地域で海洋進出の動きを強め、影響力を拡大する中国をけん制するねらいもあるとみられています。

イギリスは中国に対し、国際的なルールに基づく秩序を守るよう繰り返し促していて、この地域におけるみずからの存在感を高めたい思惑もうかがえます。

中国との関係は一時、黄金時代にあるとも言われていましたが、香港での反政府的な動きを取り締まる法律の施行や、新疆ウイグル自治区の人権問題などをめぐりこのところ悪化しています。

一方で気候変動などのグローバルな課題については、中国との協力が重要で、空母の派遣は、中国と対立するものではないとも強調しています。

イギリスは、日本をアジアにおける安全保障上の最も緊密なパートナーと位置づけていて、空母の派遣は、日本との協力関係を新たなレベルに引き上げるものだとしています。

中国外務省「武力をひけらかすやり方 建設的でない」

イギリスの空母打撃群の派遣や日本やアメリカなどとの共同訓練について、中国外務省の汪文斌報道官は今月3日の記者会見で「武力をひけらかすやり方は建設的ではない。関係する国々にはアジア太平洋地域の平和と安定のために建設的な役割を果たし、その逆にならないことを望む」と述べ、こうした動きをけん制しました。

加藤官房長官「日英防衛協力 新たな段階入ったこと象徴」

加藤官房長官は午後の記者会見で「『クイーン・エリザベス』を中心とする英空母打撃群の日本寄港や自衛隊との共同訓練は、長い歴史と伝統を有する日英防衛協力が新たな段階に入ったことを象徴するものだ。イギリスとの防衛協力が、自由で開かれたインド太平洋の実現や、地域と国際社会の平和と安定に資するものとなり、日英間でさらに緊密な連携が推進されることを期待したい」と述べました。