東京 4人に1人が家庭内感染 5歳児や100歳代も感染のケースも

感染力の強いデルタ株が広がるなか、家庭内でウイルスが広がるケースが相次いでいて、8月、東京都内で感染が確認された人のうち4人に1人が家庭内感染でした。

都内で8月、感染が確認されたのは12万5606人で、このうち家庭内で感染した人は、3万1293人でした。

割合は24.9%で、新規陽性者のおよそ4人に1人が家庭内感染です。

感染経路が判明している人に占める割合だと先月は64.4%で、はじめて60%を超えました。

第3波のことし1月は53.7%、第4波の5月は55.5%で、第5波では割合が上昇しています。

今月は、5日までで69.0%にのぼっていて、引き続き、家庭内で感染するケースが相次いでいます。

都によりますと、親から子どもへ、子どもから親や祖父母へなど、ウイルスがいったん家庭に持ち込まれると一気に広がり、家族全員が陽性となるケースもあるということです。

医師のグループが自宅療養者の往診を行う中では、5歳の保育園児や100歳代の女性が家族とともに感染するケースがみられ、医師は家庭での対策には難しさがあるものの、マスクの着用などを呼びかけています。

5歳の男の子 母親とともに感染

首都圏を中心に多くの医師が登録する「ファストドクター」では、都の委託を受けて自宅療養者の往診を行っています。

このうち、都内に住む5歳の男の子は、先月、母親とともに感染し、自宅療養を続けています。

男の子は、先月、新型コロナウイルスの感染が確認されました。

男の子が通う保育園では5人の感染が確認され、休園しているということです。

男の子は発症した翌日に高熱が出たあと、いったん熱は下がり、およそ10日間、自宅療養を続けていました。

しかし、その後、再び発熱し、肩で息をするような状態にもなったため、往診を依頼したということです。

医師が往診した際には、血液中の酸素の値は90%前半に低下していて、肺の音にも異常があったことから肺炎の疑いがあると診断していました。

このため気管支を広げる薬を処方し、男の子が薬を吸い込むと、酸素の値は90%後半に戻りましたが、子どもは大人より体力が弱く、肺炎が悪化するリスクがあるとして、医師が保健所に入院調整を依頼していました。

家庭内で感染も起きていて、父親は陰性でしたが母親は陽性が確認され、数日間、40度の高熱が続いたということです。

父親は「夜中でも対応してもらえ、安心だった。逆に言うとほかに頼るところがなかった。どうなったら終わりになるのか分からないし、子どもは陽性反応が出ているので、ほかの病気になっても病院で受け付けてもらえないのも不安だ」と話していました。

診察した医師は「大人より子どものほうが低酸素に弱いし、急激に数値が低下したり、重篤な後遺症が残ったりするおそれもある。早めの入院が望ましい」と話していました。

100歳代の女性 孫の男性も感染

また、別の家庭では、100歳代の女性が38度の発熱が続き、一時、血液中の酸素の値が80%後半に低下したということです。

女性は、先月、新型コロナウイルスの感染が確認されました。

医師が往診する2日前から38度の発熱が続いていて、血液中の酸素の数値が、一時、80%後半に低下したということです。

医師が訪れた際は酸素の値は90%後半となり状態は安定していましたが、体調の異変がないか見逃さないよう、看護師が毎日数回、電話で確認することになりました。

また、実家に戻ってきていた孫の男性もほぼ同じ時期に感染が確認され、医師は家庭内で感染が広がった可能性があるとしています。

女性と同居している娘は、保健所からは濃厚接触者にあたるものの、発熱があればPCR検査を受けるように言われていて、今のところ検査していないということです。

100歳代の女性はワクチン接種はしておらず、家族は「高齢なのでワクチンを打って何かあったらいけないと考え、かかりつけ医と相談して、ワクチンは打たずに周囲の人が気をつけるようにしていた」と話しています。

家庭での対策 難しさあるがマスク着用と手洗いやうがいを

「ファストドクター」の代表、菊池亮医師は家庭での対策は難しさがあるものの、「互いにマスクをつけて距離をとって手洗いやうがいをしていく。感染者はできるだけ個室にいてもらい、使ったものを共用しないようにしてほしい」としています。

そのうえで「自宅療養の現場は、感染者が減ってきて、病床の使用率が下がってきて、ようやく状況が改善してくる。いったん感染者が減ってきても病床の使用率が下がるまで、我慢が必要な時期が続く。ここで気を抜くと元に戻ってしまうので対策は徹底してほしい」と呼びかけています。