パラリンピック車いすテニス男子 国枝慎吾が2大会ぶり金メダル

東京パラリンピック、車いすテニスの男子シングルス決勝で、国枝慎吾選手がオランダのトム・エフベリンク選手をセットカウント2対0で破り2大会ぶり3回目の金メダルを獲得しました。

東京パラリンピックの車いすテニスは4日、男子シングルスの決勝が行われ、世界ランキング1位の国枝選手は、世界8位でオランダのエフベリンク選手と対戦しました。

試合は第1セットの第1ゲームで、国枝選手がサービスゲームをブレークされる立ち上がりとなりましたが、ここから相手のバックハンド側を突くストロークで試合を組み立て流れを作ると、スピンをかけたショットや、ネットプレーなど多彩な技を駆使して6ゲームを連取し6-1でこのセットを奪いました。

第2セットに入るとエフベリンク選手が最速169キロをマークするサーブなど力強いショットで反撃を試みますが、国枝選手は冷静にコースを攻めてポイントを奪い相手につけいる隙を与えず6ー2で取って、セットカウント2対0のストレートで金メダル獲得を決めました。

国枝選手はロンドン大会以来となる2大会ぶり3回目の金メダルです。

国枝「まだ夢の中にいるようだ」

国枝選手は試合後「まだ夢の中にいるようだが、この日のためにすべてを費やしてきたので報われてよかった」と喜びをかみしめていました。

前回大会で金メダルを逃してからの5年間について尋ねられると「リオデジャネイロ大会の後は引退を何度も考えました。大会直後は世界一に復帰して、こうして東京大会で金メダルを取れるとは思っていなかった」と振り返っていました。

決勝については「最初は固さがあったが、少しずつ自分のバックハンドが効果的だったので、しっかり振り切った。自分自身のやるべき事を僕は知っているし、そのプレーをこのコートで出すんだと、勝ち負けは考えずに集中した」と話していました。

そして「パラリンピックが終わった後も皆さんに興味を持ってもらえるようなプレーを続けていきたい」と、第一人者らしく競技全体の認知度向上に大会をつなげたいという思いを語りました。

一時は引退の考えも 平たんではなかった東京までの道のり

世界ランキング1位、金メダル奪還、そして、日本選手団の主将。
東京パラリンピックの顔として常に注目を浴びてきた国枝慎吾選手が、コートの上で涙を流しながら日の丸に顔をうずめました。

千葉県出身の37歳。
9歳の時に脊髄の病気で両足に障害が残りその2年後に車いすテニスを始めました。

パラリンピックでは初出場した2004年アテネ大会で男子ダブルスの金メダルを獲得、シングルスで北京とロンドンで2連覇を達成し世界のパラアスリートを代表する存在です。

パラリンピックのたびに活躍し、当然結果を残すと期待される国枝選手ですが、東京大会までの道のりは、平たんではありませんでした。

シングルスで3連覇のかかった前回リオデジャネイロ大会は、右ひじのけがを抱えたまま出場し、成長著しい若いライバルたちの勢いにも飲み込まれ、ベスト8で敗退します。
大会後「このまま引退してもいいテニス人生だったと思えるな」とラケットを置くことも考えました。
しかし、王座から引きずり下ろされたからこそ、国枝選手は復活に闘志を燃やします。

まずはけがの原因になったバックハンドを改造し、ひじへの負担を減らす打ち方をマスターして強打を取り戻しました。
さらに、2018年から指導を受ける岩見亮コーチのもと、ベースラインから下がらず早いテンポで強打を打ち込んだりネットプレーの回数を増やしたりと攻撃的なテニスを身につけ、世界ランキング1位に返り咲きました。

復活を遂げた国枝選手が東京大会で掲げた目標は、世界のライバルたちとともにプレーを通して競技の魅力を伝えることと、金メダルの奪還。
そのすべてを決勝の舞台で達成し最高の形で大会を締めくくりました。