「名代富士そば」運営会社 雇用調整助成金を不正受給

首都圏で立ち食いそば店を運営する会社が国の雇用調整助成金の一部を不正に受給していたことが分かり、厚生労働省がおよそ300万円の返還を命じる処分を行ったことが関係者への取材で分かりました。会社はすでに返還をしていて「コンプライアンス体制の確立に向けて引き続き努力したい」としています。

処分を受けたのは首都圏で立ち食いそば店「名代富士そば」を運営するグループ会社の1つで、東京 渋谷区にある「ダイタンミール」です。

この会社は新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが減少したため、国の「雇用調整助成金」を利用し従業員を休ませた際に支払った休業手当について助成を受けていました。

しかし厚生労働省が調査した結果、去年7月から8月にかけての1か月間分の中で、1人について実際は有給休暇であるのに仕事を休ませて休業手当を支払ったとうその申請書を提出し、不正受給をしていたと確認されたことが関係者への取材で分かりました。

このため厚生労働省は、この1か月間分の助成金の全額と違約金などの合わせておよそ300万円の返還を命じるとともに今後5年間、助成金の利用を禁止する処分を行いました。

会社はすでに返還をしているということです。

この会社を傘下に持つ「ダイタンホールディングス」は「不正との指摘を受け処分を受けたことは事実であり、深くおわび申し上げます。ほかのグループ会社は不正との指摘を受けておりません。コンプライアンス体制の確立に向けて引き続き努力して参りたい」とコメントしています。

雇用調整助成金 支給は4兆円超

「雇用調整助成金」は売り上げが減少しても企業が従業員を休業させるなどして、雇用を維持した場合に休業手当などの一部を助成する制度です。

厚生労働省によりますと、去年2月から先月27日までの支給決定件数は433万7923件、金額にして4兆2861億円に上っています。

厚生労働省は新型コロナウイルスの影響を踏まえ
▽1人1日当たりの助成金の上限額を1万5000円に
▽従業員に支払った休業手当などの助成率を大企業と中小企業はいずれも100%に引き上げるなど
特例措置を実施しています。

この特例措置は
▽「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の対象地域で自治体からの要請に基づき休業や営業時間の短縮などに協力する企業や
▽直近3か月の売り上げなどが前の年や2年前と比べて30%以上減少している全国の企業が対象です。

厚生労働省は感染拡大の影響が続いているとして、この特例措置をことし11月末まで継続することを決めています。

不正受給 相次ぐ

「雇用調整助成金」の不正受給は相次いでいます。

厚生労働省が全国の労働局を通じて調べた結果、不正受給はことし4月の時点でそれまでに確認できただけで44件、金額にして2億7468万円に上っています。

▽実際には働いていた従業員を書類上は休ませたとうその申請をしたり
▽実在しない従業員を休業させたと申請して助成金を不正に受け取ったりしていたケースがありました。