視覚障害者 駅のホーム事故 “手を振っている”車掌見間違えか

ことし7月、神奈川県横須賀市の駅のホームで視覚障害者の男性がドアに手を挟まれたまま電車が発車しけがをした事故は、男性が車体に触れてドアの場所を探していたのを、車掌が見送りで手を振っていると見間違えた可能性があることが国などの調査でわかりました。国は再発防止策を検討することにしています。

ことし7月、横須賀市の京急久里浜駅のホームで電車に乗ろうとしていた視覚障害者の60代の男性がドアに手を挟まれたまま発車した電車に引っ張られて転倒し、頭や腰にけがをしました。

国土交通省や京急電鉄がホーム上のカメラの映像を確認したところ、男性が手を左右に動かしながら車体に触れていた際にドアが閉まり、手が挟まる様子が映っていたということです。

国土交通省によりますと視覚障害者が電車に乗る際、ホームからの転落を防ぐため車体に触ってドアを確認することが多く、男性も手でドアを探していたとみられるということです。

一方、車掌は調査に対し「ホームから手を振って乗客を見送る人がいると思い電車から離れるように放送した」と話していて、男性が見送りで手を振っていると見間違えた可能性があることがわかったということです。

国土交通省は2日に開かれる検討会で、こうした事故の再発防止策を検討することにしています。

駅のホームで視覚障害者は…

東京メトロ東西線の高田馬場駅は点字図書館などがあるため視覚障害者が利用することが多い駅で、視覚障害者がホームドアを白じょうでたたいて開く場所を探したあと、車体のドアの縁を手で触るなどして安全を確認しながら電車に乗る姿が見られました。

東西線は10両編成で車両の長さは200メートルになるため、ホームに6台のカメラを設置して最後部にいる車掌がモニターで乗り降りする人を確認しています。
ただ、ホーム上にいるのと違い、モニターの画面上では夕方のラッシュなどの際に混雑する別の乗客と重なって視覚障害者の動きが見えづらくなる状況も見られました。

このため、東京メトロでは視覚障害者の利用が多い駅ではホームで安全を確認する駅員を増やしたり、改札を通る際に声をかけ安全に乗車を終えるまで見守る対策を取っているということです。

モニターでの安全確認は首都圏の多くの鉄道会社でも行われていて、今回、事故があった京急久里浜駅でも導入されていましたが、ドアに手が挟まった視覚障害者の男性を車掌が見落としホームで乗車を見守る駅員もいませんでした。

視覚障害者 車体触りドア探す “必要な動作”

去年、東京 江東区の東京メトロの東陽町駅でホームに電車が止まっていると勘違いしたとみられる男性が転落するなど事故が相次いだことを受け、国土交通省は、視覚障害者が手などで電車の車体を触ってドアを探すのは必要な動作だとしています。

視覚障害者の男性は「確認のために乗車に時間がかかってしまうので、停車時間が短い駅などでは指を巻き込まれたり、つえを挟まれたりすることはあるので乗務員も理解していただきたい」と話していました。

また、別の視覚障害者の女性は「同級生がつえがドアに挟まってしまったことがあるので、今回の事故は怖い。電車の入り口が分からない時に一声かけてくれると安心なのでお願いしたい」と話していました。
視覚障害者に安全な鉄道の利用方法を指導する「歩行訓練士」の小倉芳枝さんは「健常者が無意識でやっているドアを目で見て電車に乗るという行動は視覚障害者にとっては安全確認のために非常に神経を使うことで、時間がかかることも多い」としたうえで「車体に近づいてからドアを探すなど見えている人とは違った動作をしていることがあることを知り、気軽にお手伝いの声をかけていただくことが事故を防ぐことにつながる」と話していました。