池袋暴走事故きょう判決 90歳被告“無罪主張” 裁判所の判断は

東京 池袋で車を暴走させて母親と子どもを死亡させたほか、9人に重軽傷を負わせた罪に問われている90歳の被告に2日、東京地方裁判所で判決が言い渡されます。被告は運転にミスはなかったと無罪を主張していて、裁判所の判断が注目されます。

おととし4月、東京 池袋で車が暴走し
▽松永真菜さん(31)と
▽長女の莉子ちゃん(3)が死亡したほか
9人が重軽傷を負った事故では、旧通産省の幹部だった飯塚幸三被告(90)が過失運転致死傷の罪に問われています。

裁判では運転にミスがあったかどうかが争点となり、検察は「ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたことに疑いの余地はない」として法律の上限にあたる禁錮7年を求刑しました。

一方、飯塚被告と弁護側は「アクセルとブレーキを踏み間違えた記憶は全くない。車両に何らかの異常があったと考えられる」として無罪を主張しています。

審理には妻と娘を亡くした松永拓也さんも参加し「被告は命や遺族と向き合っているとは思えない。法律上、最大限の刑罰が与えられることを望む」と訴えました。

この事故は高齢ドライバーの問題が改めて注目されるきっかけとなり、事故があった年に運転免許を返納した人は高齢者を中心に過去最多となるなど社会に大きな影響を与えました。

判決は東京地方裁判所で午後2時に言い渡されます。

判決を前に遺族が語ったこと…

妻の真菜さんと娘の莉子ちゃんを亡くした松永拓也さん(35)は、2日の判決を「前を向いて生きるための節目」だと捉えています。

判決を前に取材に応じた松永さんは「判決が出ても2人の命が戻るわけではなく日常が戻るわけでもないので複雑な気持ちです。ただ、私たち遺族がこれから先、前を向いて生きていこうとするきっかけにはなると思うので、1つの節目になると捉えています」と心境を明かしました。

およそ1年に渡る裁判で、松永さんは被害者参加制度を利用して審理に参加し、被告に直接質問したり意見陳述を行ったりしました。

2人の思い出や事故のことを振り返り、無罪を主張する被告と向き合うことは精神的に大きな負担でしたが、参加してよかったといいます。

松永さんは「自分が望んでいるようなことを被告が言ってくれないのが被害者参加制度のいちばんつらい部分だと感じました。それでも僕たち遺族にとってはできることをやったという事実が大事だと思います。どんな結果が出て、さらに裁判が続くのかどうかもわからないですが、どんな結末だったとしても将来的には『やれることはやった』と言えるのではないかと思います」と話しています。

先月27日、松永さんは自身の誕生日の翌日にブログを更新しました。

「家族を愛すること」と題した記事には、4年前の松永さんの誕生日に真菜さんと莉子ちゃんから贈られた動画が掲載されています。

「お父さん、ハッピーバースデー」と笑顔で手を振る2人。

「生きていた時の写真や動画を見て、多くの人に交通事故の現実を感じて欲しい。そして巡り巡って事故がひとつでも防げたなら、自分が命尽きた時に胸を張って2人に会える気がしてしまうのです」とつづられています。

二度と悲惨な事故が起きて欲しくない。

そのためにも厳しい判決を望むという松永さんは「僕は罪を償ってほしい。ちゃんと戦って、2人にはただただ穏やかにいてほしいと思っています」と話していました。