日銀副総裁 “景気回復の時期あとずれ” 金融政策で対応検討

日銀の若田部副総裁は、新型コロナウイルスの影響が長期化していることについて、国内の景気回復の時期はこれまでの想定より遅れるとしたうえで、必要に応じて金融政策による対応を検討する考えを示しました。

日銀の若田部副総裁は1日、広島県の経済団体などとの懇談会にオンライン形式で出席したあと記者会見を行いました。

この中で若田部副総裁は国内の景気について「少し前まではワクチン接種が進めば経済が回復するという道筋を描いていたが、変異株の感染が拡大した影響などから景気が下振れするリスクはあり、回復の時期はあとずれしていくだろう」と述べました。

そのうえで「製造業中心に企業の業績は底堅く推移し、景気全体が底割れしている感じには見えないが、今後、回復が見通せずに底割れとなった場合は、金融政策での対応を考えないといけない」と述べ、必要に応じて金融政策による対応を検討する考えを示しました。
また、日銀が民間の金融機関による気候変動対応の投融資を支援するため、年内にも新たな資金供給策を始めることについて、若田部副総裁は「さまざまな自然災害は経済に下押し圧力をもたらし、物価にも影響を与えうる。持続的な経済発展や耐性の強い経済を作るという観点から、金融政策として気候変動対応を行うことは日銀の使命と矛盾しない」と述べました。