きょうデジタル庁が発足 マイナンバー制度活用などに取り組む

デジタル改革の司令塔となるデジタル庁が1日、発足しました。各府省庁に対する勧告権など強力な総合調整の権限を持ち、国の情報システムを統括・監理するほか、マイナンバー制度を活用した行政サービスの向上などに取り組むことになります。

「デジタル改革関連法」が先の国会で成立したことを受けて、デジタル改革の司令塔となるデジタル庁が発足しました。

東京・千代田区の紀尾井町にある複合ビル内に設けられ、民間からのおよそ200人を含む、600人体制でスタートします。

デジタル庁は、各府省庁に対する勧告権など強力な総合調整の権限を持ち、国の情報システムを統括・監理するほか、関係する予算も一括して計上し、配分します。

また、地方自治体の情報システムの共通化や、マイナンバー制度を活用した行政サービスの向上、それに、教育や医療、防災などの分野のデジタル化にも取り組みます。

1日は菅総理大臣が、平井デジタル改革担当大臣を、初代の「デジタル大臣」に任命するほか、事務方トップの「デジタル監」に、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏を充てる人事が持ち回りの閣議で決まる見通しです。

そして、発足式が開かれ、菅総理大臣が、オンラインで職員に訓示することにしています。

マイナンバーカードの活用が柱に

政府は、デジタル庁の発足を機に、国と地方のデジタル化を進め、住民の利便性を高めたいとしています。

柱の1つとなるのが、マイナンバーカードを活用した行政サービスの向上です。

マイナンバーカードは、10月から医療機関や薬局で健康保険証として本格的に使えるようになります。

また、来年度中には、専用サイトから口座を登録すれば災害時などの給付金が自動的に支給されるようになるほか、マイナンバーカードの機能の一部がスマートフォンに搭載できるようになります。

さらに、令和6年度末までに、運転免許証と一体化する仕組みの導入も目指しています。

このほか、国と地方のシステムを標準化し、連携しやすくすることで、例えば、今後、新たな感染症が流行した場合などに、ワクチンの配送や在庫の管理、個人の接種記録などを1つのシステムで管理することも可能になるとしています。

新型コロナウイルス対策をめぐり、デジタル庁では、ワクチン接種を証明するいわゆる「ワクチンパスポート」の年内のデジタル化に向けて、検討を急ぐことにしています。

一方、マイナンバーカードをめぐって、政府は、来年度末までに、ほぼすべての国民に行き渡るようにする目標を掲げていますが、カードの普及率は先月30日時点で、37.5%にとどまっていて、普及の促進が課題となっています。

また、スマートフォンなどの扱いに不慣れな高齢者なども、ひとしくデジタル化の恩恵を享受できるような環境を整えられるのかも問われることになります。

職員の3分の1 民間から 兼業やリモートワークも

600人体制でスタートするデジタル庁は、専門性の高いIT人材を確保するため、職員の3分の1にあたる、およそ200人を、インターネット関連企業などの民間から登用しました。

また、技術革新の変化のスピードに対応することが求められるとして、部局や課などを設けず、新たなシステムの開発といったプロジェクトごとに職員を配置するほか、非常勤職員の兼業やリモートワークなど、柔軟な働き方を認めるとしています。

一方、政府は、来年度・令和4年度に実施する国家公務員の総合職の採用試験から「デジタル」の区分を新たに設け、人材の獲得と育成を進める方針です。

そして、将来的には、優秀な人材が官庁と民間を行き来しながらキャリアを積める環境を整え、官民のデジタル化を推進していきたいとしています。

民間企業との癒着防ぐ透明性も課題

東京オリンピック・パラリンピックのために開発されたアプリの発注経緯をめぐる、外部の弁護士らによる調査報告書は、アプリの開発プロジェクトに守秘義務を負わない民間事業者を組み込んでいたとして、不適切だったなどと指摘しました。

デジタル庁は、民間から多くの人材を登用しており、システムの調達や整備をめぐり、職員の出身企業などとの癒着を防ぎ、公正性を確保することが不可欠となります。

このため、民間から採用される職員などの規範の順守の確保に向けて、外部の弁護士らがデジタル大臣に助言を行う「コンプライアンス委員会」が設置されました。

そして、職員に兼業先の企業や保有する株式などの情報をあらかじめ登録させ、調達に関わる職員の兼業先を入札に参加できないようにする仕組みを導入するなどして、業務の透明性を高めていきたいとしています。