防衛省 概算要求 5兆4797億円 南西諸島の防衛力強化など

防衛省は、5兆4797億円にのぼる来年度予算案の概算要求を決定しました。海洋進出を強める中国を念頭に、南西諸島の防衛力を強化するため、島しょ部に部隊を輸送する艦艇の取得費などを盛り込んでいます。

防衛省は、31日、オンラインで省議を開き、5兆4797億円にのぼる来年度予算案の概算要求を決定しました。

前の年度の概算要求に比べると、およそ100億円少なくなりました。

この中では、海洋進出を強める中国を念頭に、南西諸島の防衛力を強化するため、島しょ部に部隊や装備品を輸送する艦艇2隻の取得費として102億円、陸上自衛隊の誘導弾を、護衛艦や戦闘機などからも発射できる新たな長射程の巡航ミサイルに改良する開発費として379億円を盛り込んでいます。

一方、各国が最先端技術の軍事への活用を進めているとして研究開発費には過去最大となる3257億円を盛り込み、次期戦闘機の機体やエンジンの設計のほか、ミサイル防衛のための「衛星コンステレーション」と呼ばれる小型衛星群がミサイルの位置や動きを自動で解析できるようにするためのAI=人工知能の研究などが含まれています。

このほか、配備を断念した「イージス・アショア」の代替策として建造する「イージス・システム搭載艦」については設計費や建造費の計上は見送り、搭載するレーダーの改修費用として58億円を盛り込んでいます。

また、F15戦闘機の改修をめぐっては当初の見積もりから費用が大幅に膨らんだため、対艦ミサイルの搭載を見送ったうえで、改修事業は継続し、具体的な金額を明示しない「事項要求」として盛り込みました。

研究開発費が過去最大に

ことしの防衛省の来年度予算案の概算要求では、研究開発費が過去最大となりました。

なかでも「ゲーム・チェンジャー」と呼ばれる、戦い方を大きく変えうる技術に重点的な投資を行うとしてAI=人工知能の研究などに重点を置きました。

具体的には次期戦闘機と連携して飛行する、AIを搭載した無人機の性能などの研究や、ミサイル防衛のための「衛星コンステレーション」と呼ばれる小型衛星群がミサイルの位置や動きを自動で解析できるようにするためのAIの研究などが盛り込まれています。

また海上での警戒監視を強化するための「水中無人機」の技術の研究費や、変則的な軌道で飛しょうするミサイルを、上空にとどまって探知・追尾するための「滞空型無人機」の調査研究費なども盛り込まれています。

研究開発費が大幅に増えた背景には、各国が最先端技術を軍事に活用する動きが活発化する一方で、日本は、技術的な研究や開発にかける予算が少なく、このままでは技術的な格差が広がるという指摘が出されていたことがあります。

岸防衛相「必要な防衛力を大幅強化、優先分野への資源配分重視」

岸防衛大臣は、オンラインで開かれた省議で「わが国周辺の安全保障環境が、これまでにない速度で厳しさを増す中、必要な防衛力を大幅に強化するため、各種事業をより一層加速する。次期戦闘機の開発や『ゲーム・チェンジャー』となり得る技術の研究開発の強化など、優先分野への重点的な資源配分を重視した。必要な予算をしっかり確保できるよう、一丸となって努力してほしい」と指示しました。