パラ自転車 杉浦佳子が金メダル 個人ロードタイムトライアル

東京パラリンピック、自転車の女子個人ロードタイムトライアル運動機能障害のクラスの決勝が行われ、50歳の杉浦佳子選手が金メダルを獲得しました。50歳での金メダル獲得はパラリンピックの日本選手としては最年長です。

パラリンピック 日本最年長50歳で金メダル

自転車のロード種目は31日から静岡県の富士スピードウェイで始まりました。女子個人ロードタイムトライアルの運動機能障害のクラスは、1周8キロのコースを2周する16キロで争われ、日本からは50歳の杉浦選手と藤井美穂選手が出場しました。

9番目にスタートした杉浦選手は1周目の8キロをトップのタイムで通過し、2周目もしっかり粘って全体で2番目のタイムで乗り切り、2位に20秒以上の差をつける25分55秒76で金メダルを獲得しました。

「思い詰まった金メダル 早くお世話になった皆さんに見せたい」

自転車の女子個人ロードタイムトライアルの運動機能障害のクラスで金メダルを獲得した杉浦佳子選手は表彰式のあと改めて取材に応じ「私1人でとったメダルではなくここまでお世話になった方々とみんなで取ったメダルで、思いが詰まった重い重いメダルだと感じている。早く皆さんに見せて生で持ってもらいたい」と目を潤ませながら話しました。

また、表彰式でメダルを受け取った際に少し戸惑ったような笑顔を浮かべたことについては「世界選手権のメダルよりも重かったので驚いて、自分と同じく初出場で銀メダルを獲得したスウェーデンのアンナ・ベック選手と『重いよね』と話していた。ベック選手はライバルとして戦ってきたので一緒に表彰台に立てたという重みも感じた」と振り返っていました。

そのうえで地元の静岡県でのパラリンピックについて「海外の選手たちも『シズオカ』ということばを口にしていたので、これを機会に静岡の名前も広がるといい。静岡の人たちにも支援してもらっているので、喜んでもらえたらうれしいし、本当にありがとうとしか言えない」と感謝の思いを話していました。
50歳での金メダル獲得はパラリンピックの日本選手としては最年長です。杉浦選手は「アンビリーバブルな感じです。このコースは全日本選手権で走らせてもらっていたので、絶対に自分が有利だと思っていました。ゴールの向こうには栄光が待っていると聞いていたので、ただ栄光に向かって走ろうと、全力疾走しました」と笑顔で話しました。

最年長記録での金メダル獲得については「きょうはちょっと年齢を忘れていました。最年少記録は二度と作れないけど、最年長記録ってまた作れますね」とおどけながらもさらなる意欲を示しました。

そのうえで「大変な環境の中でスポーツを支えてくれた方、応援してくれた方々には本当に感謝の気持ちしかありません。それをどういう形で恩返しできるかを考え、自分にはよい結果を残すことしかないと思っていたのでお返しができて本当によかった」と感謝の思いを話していました。

藤井選手は障害の程度にともなうハンディキャップ係数が反映されたタイムで、33分9秒02となり15位でした。
藤井選手は「いつもどおり考えすぎずに、けがなく安全に走り切ることを第一に考えて走った。結構早いタイムで回れたので自分的には満足かな」と話していました。
そして、3日後に行われるロードレースに向けては「何が起こるかわからない種目なので、きょうのよい感覚をしっかりと維持して、最後まで走り切りたい」と意気込みを話しました
銀メダルはスウェーデンのアンナ・ベック選手銅メダルはオーストラリアのペイジ・グレコ選手でした。

杉浦 自転車レースで事故 自転車でリハビリ

杉浦選手は競技を始めてから、わずか4年。日本のパラ自転車界にすい星のごとく現れた選手です。

杉浦選手は趣味のトライアスロンを続けていた5年前、自転車のレースで転倒し記憶力などが低下する「高次脳機能障害」と右半身のまひが残りました。事故のあと1週間の記憶がなく、退院する時に医者から「もう自転車には乗れない」と告げられましたが、リハビリのために再び自転車に乗ると奇跡的な回復を遂げました。

「障害や年齢に関係なく成長できることを証明したい」

よくとしの2017年からはパラ選手として本格的に競技に取り組み始めました。トライアスロンで鍛えた持久力を武器に2年続けてロードの世界選手権で優勝し、2018年には国際競技団体からその年に最も活躍した選手に選ばれるなど、一躍、東京パラリンピックの期待の星となりました。

しかし、新型コロナによる東京大会の1年延期。杉浦選手は“50歳で大会を迎える自分が若い選手たちと本当に戦えるのか”と一時は出場を諦めかけたと言います。

それでも競技歴が浅い自分には若手選手以上に伸びしろがあると信じ、この1年、徹底した筋力強化やフォームの改善に取り組み、練習では自己ベストを次々と更新してきました。

“延期の1年を進化の1年にかえて”臨んだパラリンピック。初出場の50歳が得意のロードレースで日本選手で最年長の金メダルという快挙を達成しました。